「米中首脳会談」このタイミングで開催の意味 会談から透けて見えた米中それぞれの思惑

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今回の会談では、バイデン政権発足当初にアラスカ州で開催された高官会議のような厳しい口調や態度は避けられた。元国務省高官のライアン・ハス氏は、ブルッキングス研究所のパネルで今回の会談について、「双方とも、暴走的なエスカレーションはどちらの利益にもならないことを認めているようだ」と語っている。

しかし、今回の会談で関係に一定の下地できた一方で、実質的な進展には明確な限界があると同氏は警告する。「どちらも軟化していると見られたくないのだ」と、ハス氏は語った。

アメリカ、中国が国内で抱える問題

米中両国の首脳は、主に国内の問題に打ち込んでいる。コロナ対策への懸念、インフレの進行とサプライチェーンの混乱による経済の先行きへの不安、アメリカ議会では新たな巨額の歳出法案を含めた重要法案が暗礁に乗り上げ膠着状態になっている中、バイデン子の人気は低迷している。

今回の首脳会談は、中国との競争もあって、1兆ドル規模の大規模なインフラ支出法案の可決後に行われたものであり、国内の優先事項が明確に反映されている。

スタンフォード大学教授で中国の外交戦略の研究者であるトーマス・フィンガー氏(元アメリカ情報機関高官)は、「バイデン大統領は、より優先度の高い目標の達成に向けて関係がよくなったように見せかけるための中国への譲歩で、自らの政治手腕を危険にさらされたくないと考えている」と話す。

一方習氏は、成長の鈍化、不動産バブルの崩壊、中国の民間ハイテク企業家に対する政治的動機による取り締まりなどにより、外的圧力に劣らぬ過酷な内的圧力を受けている。

加えて、供給不足や価格上昇などエネルギー問題にも直面している。市場改革も停滞している中、「深刻な経済減速は遠い未来ではなく、近い将来の懸念となっている」と、中国経済アナリストのダニエル・ローゼン氏は今月初め『フォーリン・アフェアーズ』誌に寄稿した。ローゼン氏は「習近平には時間がない」と警告している。

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