日本銀行の黒田東彦総裁は15日、消費者物価の上昇率が1%に高まっても「金融緩和の措置を緩めるとか、撤回するとか、そういうことは全く考えていない」と語った。名古屋市で行われた各界代表者との金融経済懇談会後に記者会見した。
物価上昇率が1%になった場合にマイナス金利や長期金利目標の見直しなどで緩和度合いを調整する可能性を問われた総裁は、「1%になっても、2%にはまだかなり距離がある」と指摘した。2%の物価安定目標の早期実現を目指して、現在の金融緩和を粘り強く続けていくと改めて表明した。
総裁は午前の講演で、消費者物価の先行きについて、来年半ばごろには需給ギャップがプラスに転化することが見込まれる下で、1%程度まで徐々に上昇率を高めていくとの見通しを示していた。
来年3月末が期限の新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラムに関しては、「現時点で来年4月以降の方針は決めていない」と発言。「今後の感染や企業金融の動向を注視・分析し、適切に判断したい」と語った。
大企業では借入金を返済する動きが続くなど予備的な資金需要に落ち着きが見られ、コマーシャルペーパー(CP)や社債の発行環境も良好と説明。一方、「対面型サービス業など一部の中小企業の資金繰りには、なお厳しさが残っている」とした。
同プログラムは、主に大企業向けのCP・社債の増額買い入れと、中小企業が中心の金融機関に対する低利の資金供給制度で構成されている。
他の発言
- 政府との共同声明に沿って、物価目標の実現目指して緩和継続
- 現在の円安が特にマイナスとはみていない
- 為替はファンダメンタルズを反映し、安定敵推移が最も重要
- 国際商品市況高・円安、原因を考えれば現時点で大きなマイナスではない
- 半導体不足はやや長引く可能性あるが、経済の持ち直しに変更ない
- 政府の経済対策による家計支援の拡大は重要
- 個人消費は今後の回復が期待できるが、ペースは不確実
- 適切なイールドカーブが維持されている
(詳細を追加して更新しました)
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著者:伊藤純夫
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