終(つい)の住処(すみか)は個室か相部屋か、低所得者対策で論争激化

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 これに対し、埼玉県や群馬県、広島県、佐賀県などではすでに開設された併設型施設でユニット型個室の報酬が支払われていたことが判明している。自治体が介護報酬についてきちんと確認を行わなかったことに加えて、厚労省の対応の不明確さも、混乱の原因だ。

多床室との併設自由化を厚労省に求める自治体が多い一方で、ユニット型個室の整備方針を堅持する自治体もある。横浜市はユニット型個室の方針を維持しながら、低所得者対策に関しては、特に負担が重い一部の収入階層に対して、居住費の自己負担軽減のための助成措置を10月からスタートさせる。

整備方針をめぐる対立は根深い。最大の事業者団体である全国老人福祉施設協議会も、厚労省に併設型容認への方針転換を迫っている。

しかし、一度作った多床室を将来個室に転換することは困難だ。すべての人が個室で生活を送ることは、ぜいたくとはいえない。その理想を実現する手だてを、真剣に考えるべき時だ。

(岡田広行 =週刊東洋経済2010年7月17日号)

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