岸田奈美さん「家族の一大事も10年後には笑い話」 人気作家が考える「今」を乗り切る思考法とは?
エッセイは「うれしいこと」「好きな気持ち」のおすそ分け
10年たてば、どんな苦労もみんな笑い話
ブログサービスnoteでの文章をきっかけに、2020年は初エッセイ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』が大ヒット。悲劇も喜劇も入り混じったエピソードには、読み手の日常のモヤモヤを晴らす不思議なパワーがあります。
そして先日、待望の最新刊『傘のさし方がわからない』が発売に。初エッセイの印税と全財産を使って、車いすユーザーの母のために外車・ボルボを買った話から始まり、祖母や弟に起こったあれこれまで。今回も、岸田さんと家族の日常の泣き笑いが、ぎゅっと凝縮されています。
「見て見ぬふりをしていた家族のしんどさが、この1年で一気に噴出しました。祖母はもの忘れがひどくなり、母は心内膜炎の大手術、ダウン症の弟はグループホームに通い出し……。いろんな変化が起こり、私自身は福祉の手続きにかけずり回ったり、相変わらずトラブルに巻き込まれたり。さらには、30歳前後で体の不調が多くなったりも。
でも、将来起こるかもしれなかった大変なことが、“たまたま今起きているだけ”と考えればなんとかしのげます。それに、10年たってみたら、どれも笑い話になりますから」
「もし、今がどうしてもつらかったら、心の雨戸を全部閉めて、ただただ嵐が過ぎ去るのを待つのも、いいでしょう。乗り越えなくてもいい。しのげるだけでも、ずいぶん気持ちが軽くなると思いますよ」