超天才ダ・ヴィンチに「解剖学」が必要だったワケ 「美術解剖学」の知られざる世界
骨と筋肉を学ぶのが美術解剖学か?
現代では「人体の外形に影響する骨と筋肉の働きを学ぶのが美術解剖学」と思われていますが、150年前には内臓が掲載された教科書もありました。ですので、一概に「美術解剖学=骨と筋肉」とは言えないようです。
とはいえ、「内臓の知識をどのように美術と結びつけるのか?」と、ピンとこない人も多いでしょう。
例えば「受胎告知」という美術のテーマがあります。「受胎告知」を突き詰めようとすれば、「妊娠のしくみ」について考える芸術家が現れてもおかしくありません。そうした芸術家の1人が、レオナルド・ダ・ヴィンチでした。「受胎告知」では実際に胎児を表現しないとはいえ、知らないことは実感を持って表現できません。レオナルドは内臓の解剖図や、子宮に包まれた胎児の素描を取材するように残しています(図1)。
したがって、医学と美術で扱っている内容に大きな違いはなく、「解剖学の知識を医学に用いれば医学の解剖学」、「美術作品に用いれば美術解剖学」と言えそうです。解剖もしくは美術解剖学を体験した代表的な芸術家は、
アルブレヒト・デューラー
ミケランジェロ
ピーテル・パウル・ルーベンス
レンブラント・ファン・レイン
オーギュスト・ロダン
コンスタンティン・ブランクーシ
エゴン・シーレ
などです。彼らの作品は、皮下の構造がきちんと表現されているので、解剖学を学ぶと作品をより深く鑑賞できるようになります。
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