片頭痛の人は「白い壁紙と照明」避けた方が良い訳 部屋を広く見せるには「明るい色」が定石だが…
「片頭痛ケアデザイン」では、光刺激への配慮から、白い壁紙や白色系の光を選んでいません。一般的に看護師寮のようなワンルームの間取りは、少しでも広く見せるために、照明はもちろん、内装や収納に至るまで白く明るい色のほうがいい、と考える方は多いでしょう。これはワンルームに限らず、不動産業界でも共通する考えだと感じます。
しかし、これはあくまで見た目を目的とした視点です。広く見えること=快適かどうかは、住んでみないとわかりません。「アクティブ・ケア」によるインテリアの視点は、自分自身のカラダとココロが快適かどうかを重要視しています。私は住んでみて快適かどうかを考えたときに、白くて明るいことが良いとは言い切れないと思うのです。
気になる調査結果は?
そこで、先程の調査結果はどうだったかというと、旧寮では45日間のうち、13日片頭痛が発症していたのに対し、新寮に移ってからではその発症が6日に減り、頭痛薬の服用日数も旧寮では7日だったのが新寮では2日に減少しました。加えて、軽いうつ状態も改善するなど、「アクティブ・ケア」による良い影響がみられました。
つまり、空間の光と色を変えることで頭痛の発生頻度が半減し、薬の服用日数が3分の1になったのです。この結果から、片頭痛症状を緩和するために、照明を含む住まい全体が大きな役割を果たす可能性が明らかになりました。
これは、私にとってまさにインテリアが健康に役立つ可能性を確信した瞬間でした。当時調査に参加してくださった看護師さんに「住む部屋を変えただけで、これまで悩みの種だった頭痛が信じられないくらい楽になった」と喜んでいただけたのが何より嬉しく、その言葉を噛みしめたことを今でも鮮明に覚えています。
研究としては、まだまだ課題はありますが、体験者の声の重みにインテリアのプロとしてやるべきことが見えました。
看護師寮の事例は、ワンルームという間取りですが、扉や収納にブラウン色を採用しています。これはどちらかというと、あまり採用されないコーディネート。なぜなら、濃い色=狭く見えるというイメージが強いため、白または明るい色が選ばれることが多いのです。
でも心配は不要です。コーディネート(調整力)を使えば、解消できます。この事例でも床に明るい色を使ったおかげで、片頭痛ケアデザインの部屋を狭く感じる、とはいわれませんでした。逆に高級感を感じる、とのコメントをいただきました。
アクティブ・ケアは、健康ばかりに目を向けているようですが、決してデザインを無視しているわけではありません。むしろ、デザイン性もしっかり考えながら、さらに健康への配慮をプラスしていくという考えです。インテリアのプロである以上、デザイン以上の付加価値を目指しているのが「アクティブ・ケア」なのです。
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