家庭でも簡単にできる「子どもの興味広げる」方法 グーグルやディズニーが採用する考え方

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ある園では、紙コップを重ねて子どもの背丈ほどの壁をつくっておきました。保育士は当初、子どもたちは紙コップを倒したり散らかしたりするだろうと想定していました。

しかし実際には、それまでの活動で新しい素材をうまく使うことを学んでいたせいか、紙コップをさらに重ねて壁を広げたり、ほかの素材を持ち寄って組み合わせたりしはじめたのです。紙コップの上に柔らかいポールを横たえて、バランスをうまくとって落とさないようにする様子を見て、保育士はその創造性の豊かさに感心したといいます。

インビテーションの記録が蓄積すればするほど、「この子にはこのようなインビテーションが効果的だ」という経験値となります。ほかの保育士の記録を参照すれば、うまくいったインビテーションをまねして採り入れることもできます。

「その子に最適なインビテーション」というのは、明確な正解があるわけではありません。子どもの気分や体調、あるいは年齢によって、これまでうまくいっていたインビテーションがうまくいかなくなることもあります。その子をよく観察して、どのようなインビテーションが効果的なのか、つねにベストなしかけを考えて提供することがポイントです。

家庭でできるインビテーションの工夫

インビテーションが成功すると、子どもの自主性を尊重しながら興味を無理なく広げ、非認知能力の育成につなげることができます。そして、この取り組みは家庭でも行なえます。

私の家で試した簡単なインビテーションの例を紹介しましょう。次男が3歳のときに、子どもと海へ遊びに行って、貝殻をたくさん拾って持ち帰りました。帰宅後、私は机の上に、拾った貝殻と貝の図鑑を並べておきました。それも、拾ってきた貝殻が載っているページを開いた状態で。

すると息子は、貝と写真を見比べて「あ、同じ貝だ!」と言って、それからは自ら図鑑でいろいろな貝を探しはじめたのです。図鑑というものの使いかたを覚えた瞬間でした。

図鑑によって貝の種類をひととおり覚えたあとは、せっかく芽生えた興味を派生的に発展させるべく、海洋生物の図鑑を与え、その後は動物図鑑を与えました。そうして、彼の興味はどんどん広がっていきました。貝の図鑑をきっかけに、彼の「自発的に知ろうとする力」が無限に伸びていったのです。

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