そう考えますと、T.O.さんとしてなぜ今回、ベンチャーに行きたいのか、現在の企業と比べてどんな成長が想定されうるのか、そしてその先に何があるのか、さらにはダメだった場合、どんなバックアップのプランがあるのか、それに加えて、そもそも仕事に何を求めているのか。そういったことを自分の中で熟考し、奥様と丁寧にコミュニケーションしていくことが求められているのではないでしょうか。給料がどうのこうのは、奥様にとってさして重要でないのでしょう。むしろT.O.さんがこの先、長い間向き合う仕事について、より深く考えておられるのかもしれません。
同時にT.O.さんの仕事における活躍や実績が今までにあるのであれば、ぜひ積極的に奥様と共有しましょう。仕事において困難に直面しても何とかできる人なのか、そうでないのかが、奥様には見えていないのかもしれません。その状態で「俺は信じる道を行く」と言われても説得力がないのかもしれませんよ。
やはりT.O.さんの判断によって、奥様も大きな影響を受けるでしょうから、より深いレベルでの会話を日頃から行い、そのうえで説得というよりも、むしろ一緒に考えるというスタンスで会話をされるとよいと思います。
ちなみに仕事以外の住環境や子育てなどについても、早めにご夫婦で価値観を共有しておき、少なくともお互いの価値観や考え方を理解しておくことは、今後のさまざまなライフイベントに関する「家族としての備え」になるはずです。
親世代は保守的なもの
次に親御さんですが、これもコミュニケーション不足に起因するのは同じですが、反対理由は奥様と若干、異なるかもしれません。「せっかく大企業に入ったのに、なんでわざわざ聞いたこともない会社に行くんだ」という、世代間の考え方の違いや世間体が原因かもしれません。あるいは子どもに余計な苦労をさせたくないといった、これまた「自分たちの世代が経験したことのない未知のものに関する漠然とした不安」を、口に出しているだけなのかもしれません。
ただし、これらもT.O.さんを思ってのことですから、ありがたく聞きつつも「自分の人生は自分で責任を取る」という態度で臨んでください。
そのためにもやはり、ご自身の仕事における実績や考え方を丁寧に説明することがスタートとなります。そのうえで、結果はどうであれ、愚痴や泣き言を言わないことです。
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