避けられない「株価の暴落」はいつ起きるのか 早ければ11月8日以降すぐに「Xデー」は来る?

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しかし、多くの場合は、現実を受け入れざるをえないことは、市場もわかっているし、結局は受け入れる。ただし、自分の都合の良いタイミングを計るのだ。タイミングをずらして、それまでにポジションをこっそりと落としていくのだ。

「市場は」という主語の使い方は、世間のマーケット関係者やメディアに迎合したもので、実際には、「投資家たちは」ということだ。市場の声、など存在しない。投資家たち、それと利害をともにする人々の都合の良い意見にすぎない。

今、暴落したら困る投資家たちは、時間稼ぎをして、少しずつ売っておき、準備が出来たら、事実を受け入れるのだ。もちろん、とてつもない、かつ100%明確なネガティブショックが来たときはやむをえない。その時は、開き直って、事実を受け入れ、その後の市場の混乱に乗じて、損失を取り返そうとするだけのことだ。

現状は、それほど大きなショックではないから、平気な振りをする戦略なのだ。

「債券市場は事実、株式市場は欲望」を表す

この仮説をサポートする事実は、債券市場と株式市場の反応の違いだ。正反対である。債券市場と株式市場の反応が異なっているときは、債券市場の反応は、事実を表し、株式市場の反応は、投資家たちの欲望を表しているのだ。

基本的に、株式投資家は欲望に正直でありつねに欲望を表明している。株価が上がってほしいときには株式を買い、またポジティブなことを言い、実際にポジティブに反応する。債券市場の投資家(トレーダー)は、理論派であり、理屈に従って動き、したがって、情報あるいは現実を正面から理屈通り受け止める。その中で、反応してくる。

そして、この反応は各集団内部では正しい反応になる。ゲーム理論的に言えば、ナッシュ均衡になる。周りが欲望に忠実に動くなら、それに合わせて動く必要がある。かつ株式には満期がないから、多数決での意見が結論になる。つまり、みんなが買えば、株価は上がり、買うという判断と行動は正しくなる。自己実現する。

一方、債券市場においては、満期があるから、自分が正しいと思う投資家、保有者は買ったら満期まで保有する。周りの判断に流される必要はない。そうなれば皆が正しい判断をする。皆も正しい判断をするのであれば、自分も事実に沿って行動することが最適になる。

今回、債券市場においては、ジェローム・パウエル議長の記者会見を受けて、同国の国債金利は上昇した。「国債買い入れを縮小し、来年6月以降は買わない」というのだから、需給から行けば、需要は減り値下がりし金利が上昇するのが当然だ。さらに、その後は利上げが見込まれているから、短期金利が長期金利に波及して上昇する以外にない。債券市場は、理論どおり反応している。

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