――ところでこの映画を観て、続編があるのではと期待する向きもありそうですが。
山本:そういう期待はあります。これも2作目、3作目と続けて撮ってもらって、北村龍平の代表作にして欲しいという。そのためにはまずヒットしてもらわないといけないわけですが(笑)。
スタッフが入れ替わるなんてハリウッドでは日常
――北村監督はハリウッドで2本作品を手がけ、本作が日本凱旋となりました。今回の映画では、ハリウッドで得たものをきちんと表現していたように感じたのですが。
北村:やはりそれが出せないようだったら駄目だと思う。僕は、『ゴジラ FINAL WARS』のあとに基本、全部を捨てて、また1からやり直す覚悟でハリウッドに行きました。もちろんコネはまったくないし、いろいろと苦労しました。日本にいれば、『ゴジラ』や『あずみ』の監督だと言ってもらえますが、ハリウッドではそんなことは関係ない。監督もスタッフもみんなオーデションで仕事をとらなければいけない世界ですから、そういう意味では、超実力社会です。
僕が初めてハリウッドの映画をやった時は、毎週金曜日に撮影が終わったら土日は休みでした。毎週金曜日の撮影が終わると、現金でギャラをくれるわけです。しかもそれなりの金額を。これは逆に言うと、いつでもクビになるということなんだなと思ったわけです。だって、毎週払うわけですから。
撮影の1週目が終わった時点で現場のプロデューサーが僕の所に来て、「スタッフはどうだ?」と聞いてくる。そこで「あいつはちょっとダメだ」と言おうものなら、月曜になると入れ替わっている。それぐらい容赦のない世界です。だから僕はその中にいる限り、そのシステムに文句を言ってもしょうがないわけです。僕よりもずっと有名な大物監督でもみんなそうやっているのですから。文句があるなら、ハリウッドに挑戦しちゃいけない。
昔は僕ももう少しパワーファイター系だったと思います。(小栗)旬も、インタビューで『あずみ』の時は、俺が嫌なヤツだったと。そればかり言うんです。「怖かった」と。確かにそうなんですよ。僕は僕なりに、そうやって戦わないと風穴を開けられないと思っていましたから。もともとインディーズで、ゲリラ的に出てきた監督ですからね。
でもハリウッドのそういったシステムを受け入れて、ずっとやっていくうちに、だいぶ柔軟になったと思います。ですから、今回の『ルパン三世』は5年前や10年前の僕だったら間違いなく作れなかったと思います。今だからできた映画だと思いますね。
――主演の小栗旬さんとの出会いも大きい?
北村:そうですね。『あずみ』をやった10年前は、彼は今のようなトップスターではなかった。この10年の間に小栗旬はトップスターになり、走り続けてきたわけです。小栗旬というスーパースターがいなければ、このタイトルマッチは組まれなかった。ですから僕の役割というものは、とにかく(小栗)旬のルパンにどれだけの説得力を出すことができるかということでした。
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