「自民苦戦?」テレビの出口調査が大外れだった訳 当日20時予想より自民は多く、立民は少なかった

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任意の出口調査にさえも自らの意志を反映させたいように思える、これらのタイプの有権者は、傾向としてはやはりいわゆる「リベラル系」が多いのだ。

出口調査に協力的なリベラル系がいる一方で、自民党支持層の中には「マスコミにつきあってなんかいられない」という有権者もいるのだ。

そして自民党支持層には「特段、声を上げることなく粛々と投票する」人も多い。いわゆる〝サイレントマジョリティ〟である。

彼らは出口調査に協力することもあるが、敢えて自分の投票先をメディアに教える必要もないとも考える。

リベラル系支持層にも、例えば「○○新聞には協力できない」という人はいるだろう。しかし大きな傾向としては、リベラル系のほうが出口調査に協力的なのだ。

この結果、出口調査では〝比較的協力的な〟リベラル系の有権者が投票先を答える一方で、〝メディアの調査とは少し距離を置く〟自民党支持層は出口調査で投票先を明かさない、ということが起きるのである。

そして、その出口調査によるデータを集計すると、自ずと「自民党へ投票した人は少なめ」「立憲民主党に投票した人は多め」という結果が出るのだ。

2016年米大統領選のヒラリー優勢報道が外れたワケ

2016年のアメリカ大統領選では、アメリカのメディアは「ヒラリー・クリントン氏優勢」という報道が非常に多かった。しかし結果はトランプ氏が勝利した。

このとき、選挙後の分析では「トランプ支持者は表だって『トランプ支持』と言わない」「トランプ支持と言いづらい」状況があったため、表向きの支持率は「ヒラリー有利」と出ていたという。

昨年の大統領選でも、アメリカの主要メディアはこぞって「バイデン圧勝か」と報道をしたが、蓋をあけると予想以上にトランプ氏が票を集め、激戦州で最後まで争う僅差の戦いとなった。

やはり「トランプ支持層は、それを表に出しづらい」というマスメディアの〝雰囲気〟があったのだ。

今回、日本の総選挙でも「同じような雰囲気」は確かにあっただろう。

そしてリベラル系は自らの投票先を率先してメディア側に伝える。

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