「自民苦戦?」テレビの出口調査が大外れだった訳 当日20時予想より自民は多く、立民は少なかった

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「幅」のあるNHKでさえ下限の予想は「99」なので、立民はNHKの「まあ最低でもこのくらいは獲るだろう」という最低の数字にも「届かなかった」。

つまり今回の選挙特番で、テレビ各局の「議席予想」は〝大ハズレ〟だったのだ。

「予想合戦」は、残念ながら『全局が敗退』と言っていいだろう。

ではなぜ、テレビは議席予想を「ハズして」しまったのか。

出口調査はどこまで正確なのか

その背景には「出口調査」がある。

選挙結果を予測するために、テレビ・新聞などは投票所で「出口調査」を行う。

文字通り、投票を終えた有権者に、投票所の出口付近で声をかけて「投票先の調査」に協力をしてもらうというものである。

さまざまなやり方があるが、模擬投票用紙に「投票した候補者名・政党名」を書いてもらい、回収ボックスに入れてもらう形が一般的である。現在はタブレットを使用するケースも多い。

この出口調査で回収したデータを元に、各局は集計・分析を行って「議席数の予想」をするのだ。

その「予想議席」よりも、実際は自民党が多く、立民が少なかったのである。

この背景には「出口調査に協力する人の特性」があるのだ。

出口調査は、あくまで「協力してもらう」ものである。有権者の「投票」は国民の権利であり、責務でもあるのだが、メディアの出口調査に応じる「義務」などは、もちろんないのだ。

私自身は出口調査をしたことはないが、出口調査をするスタッフの「密着取材」をしたことはある。

投票所から出てきた人にスタッフが「○○テレビですが、投票先の調査にご協力お願いします!」と声を掛けるのだが、「はい、いいですよ」と応じてくれる人もいれば、「あ、ゴメン」と断る人もいる。

もちろん協力していただければありがたいし、協力してくれない人にも文句を言える立場ではない。さらにメディアに対して好意的な人ばかりではない。

現在では、特に都市部ではテレビ・新聞の調査などに協力したくない・関わりたくない、という有権者も増えているだろう。

そんな中、調査に協力的な人たちの中には「政治意識が高め系な人」あるいは「政治意識が高いことをアピールしたい人」が見受けられるのだ。

スタッフとのやり取りの中で「いまの政治を変えなきゃと思って投票してきました」「1票で日本が変わることに期待します」などという発言をしながら回収ボックスという「疑似投票箱」に1票を投じて(?)くれるのである。

次ページマスコミに協力的な有権者と非協力的な有権者
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