今年はガラガラ「富士山」入山料が義務化される訳 任意の「協力金」は3人に1人が支払い拒否の現実

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従来のシーズン中の富士山といえば、山頂でご来光を拝もうとする人たちの登山道の渋滞、トイレの大行列など、週末やお盆休みなどを中心に混雑が起こります。登山というよりは、有名な寺社仏閣での大みそかの初詣のような状態…。

2019年8月の三連休初日の富士山(写真:Ryosei Watanabe)

富士山はかねて登山者数が多く、過剰利用が世界遺産を管轄するユネスコの諮問機関からも指摘を受けているところ。例年に比べると「ガラガラ」と言える富士山に今年登られた方は、快適な登山を楽しめたという方も多かったのではないでしょうか。

コロナ禍は図らずも富士山の混雑を解消することになり、関係者のみならず、一般の登山者の方にも、富士山の「あるべき姿」について考えるきっかけとなったように思います。

富士山の「適正キャパ」問題

富士山の登山者数が「何人なら適正か」を測るのは難しいですが、そのヒントとなる報告書があります。

2018年に山梨県と静岡県、政府が作成しユネスコに提出した富士山の保全に関する報告書によると、登山者同士が接触して転倒する危険性が高まる「著しい混雑」が発生する目安となる登山者数は、最も登山者数の多い吉田口登山道で1日当たり4000人としています。そして、この4000人を超える日数を3日以下とする目標も掲げられています。ただ、2019年は4000人を超える日が6日あり、この目標を達成できていませんでした。

今後コロナが収束にむかえば、富士山の登山者数も再び増加すると思われ、またコロナ前の状況に戻りかねません。

こうした中、混雑解消の一手となるかもしれない新たな方針が、この3月に発表されました。それが、かねて議論されてきた、富士山の入山料の義務化です。

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