今年はガラガラ「富士山」入山料が義務化される訳 任意の「協力金」は3人に1人が支払い拒否の現実

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入山料の文化は、日本ではまだ馴染みがありませんが、海外の高峰の山岳地域や国立公園では古くから制度化されている地域が多くあります。例えば世界最高峰のエベレストでは、ネパール側からの入山に際しては1万USドル(約110万円)の入山料と、現地の民族シェルパを雇うことが義務付けられています。山岳利用に対する料金と、地元への経済還元が明確化されています。

また、アフリカ大陸最高峰のキリマンジャロでは、国立公園の保全費が1日70USドル(約7700円)、救助費(救助が必要かどうかにかかわらず必須)、や同行必須の現地ガイド雇用費などがかかります。このほかにも世界に名だたる名峰への登山には、国立公園の入園料や入山料の支払いを義務化している地域が多くあります。

キリマンジャロとキリン(写真:iStock/Byrdyak)

もちろんこれらの例は、登山の難易度や必要日数、国ごとに国立公園の制度の違いがあるため、富士山と単純に比較することはできませんが、自然豊かな場所に入るために、然るべき金額を払って入るという文化が、海外の特定の地域では浸透していることは間違いないでしょう。

私は、自身のツアーで富士山をご案内するお客さまには、語弊を恐れず「協力金は富士山への入場料のようなものです」と、お伝えしてご協力を仰いでいます。

例えばディズニーランドのようなテーマパークに入場する料金には、運営にかかわる人の人件費、運営に関わる電気代に加えて、アトラクションの保守点検や整備などに関わる経費が含まれていますよね。

その場で受けるサービス代のほかに、その場所で安全かつ満足に楽しめる環境を保つために必要な維持費を払っているということになりますが、この支払う対象が山という自然になると、なかなか一般には理解が得にくいのが現状のように感じています。

今回の義務化にあたり、現状の協力金と同額の1,000円から始められるとすると、規制の効果は希薄でしょう。金額もそうですが、週末の混雑時と平日で料金を変えるなど、富士山の保全・登山者の安全に資する料金設定を今後模索していく必要があると思います。

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