今年はガラガラ「富士山」入山料が義務化される訳 任意の「協力金」は3人に1人が支払い拒否の現実

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安易に海外の事例を参考にして高額な設定にすることは、富士山を取り巻く特殊な社会的な状況や、これまでの富士登山の歴史を考えると簡単ではないでしょう。

金額を適正利用に直接結び付けるというのではなく、登山者のマナーや安全に対する意識を向上するための普及啓発の取り組みにも力を入れ、富士登山に訪れる登山者の質を向上させることで、富士山の環境や、登山の安全性を担保することも重要であると感じます。

登山者を「分散させる」方法

夏の富士山(写真:筆者撮影)

混雑緩和には安易な規制だけではなく、利用箇所の分散も有効です。

公共交通機関と連係し、各登山口の駐車場を結ぶ路線バスを運行すれば、マイカーで登山口まで訪れる人たちが、登りと下りを別ルートで楽しめるようになりますよね。

例えば、静岡側から登って、山梨側に降りる。下山先からバスに乗って、マイカーを止めた静岡側の駐車場に戻って帰れるといった形ができれば、登山道の利用率分散につながると同時に、登山者の周遊性も向上し、富士登山の楽しみ方も広がるのではないでしょうか。

そのほかにも、登山道以外の5合目より下のトレッキングコースを利用し、富士登山とは違った富士山の魅力を味わう楽しみ方も沢山あります。こういったコースの利用率向上には、我々ガイドが一層がんばっていかなくてはと感じています。

長々と語ってきましたが、富士山の入山料の金額は、義務化後も議論が続けられていくと思います。読者のみなさまにも様々なご意見があり、徴収には反対という人もいるかと思います。今回の義務化にあたり、みなさまはいくらまでなら支払えると感じられますか? 

馬場 龍一 エコツアーガイド

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ばば りゅういち

東京都出身。早稲田大学大学院でエコツーリズムを専攻。その後、環境関係のコンサルタント会社勤務を経て、自然にかかわる仕事への思いを捨てきれず、脱サラ。生物や自然環境について学ぶため、東京環境工科専門学校に入学し、生き物や環境保全について造詣を深め、卒業後に静岡県へと移住。富士山のガイドや西伊豆の海でのダイビングガイドとして活動。2021年にエコツアーガイド『LINKs』を立ち上げ独立。富士山山頂登山のみならず、5合目以下で登らずに楽しめる富士山のツアーを幅広く開催している。

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