人生100年時代を見据える人が採るべき5つの行動 「ライフシフト2」が伝える「本当に大切なもの」
既存の社会的規範は崩壊し始めたかもしれないが、新たな長寿時代が内包する可能性に期待をかけることができるのだ。
すぐそこにいそうな人たち
なお、本書の説得力を際立たせている要因のひとつが、随所に登場する架空のキャラクターたちである。
たとえば20代半ばの日本人カップルであるヒロキとマドカは、これからの人生を見据え、親の世代とは違う新たな生活様式を見つけ出したいと考えている。
インドのムンバイで専門職のフリーランスとして働くラディカは、「ギグ・エコノミー」がもたらす自由を満喫しているが、今後の人生で厳しい選択が待っていることにも気づいている。
ロンドンで暮らす30歳のシングルマザーのエステルは、昼は高級スーパーのレジ係のアルバイトをし、夜は老人ホームで働いている。そのため、安定した正規雇用の職に就くことを望んでいる。
アメリカ・テキサス州ダラスに住むトムは、40歳のトラック運転手。妻と、すでに成人した息子と共に暮らす。注目すべきは、彼が自動運転車の進化に目を向け、新たなテクノロジーが自身の仕事にどんな影響を及ぼすのかについて考えている点だ。
オーストラリアのシドニーで暮らすインは、55歳の会計士。パートナーとは離婚しており、先ごろ解雇を言い渡された。携わっていた業務が自動化され、年齢と職歴に見合う給料を支払えないと判断されたからだ。自分ではまだ何年も生産的な職業生活を送れると思っているが、現実との折り合いがついていない。
クライブは、イギリスのバーミンガム近郊に住む71歳の元エンジニア。65歳で引退し、妻や4人の孫たちとの日々を楽しんでいるが、お金の問題が気にかかるため仕事に復帰したいと考えている。また、その一方で、地域コミュニティーに携わりたいとの思いも抱く。
このような“すぐそこにいそうな人たち”の生き方や考え方、苦悩などが映し出されているため、読者はそれをわがことのように、あるいは知人の悩みを聞いているような感覚で受け止めることができるのだ。
また当然のことながら、それは最終的に各読者のこれからの生き方ともどこかで交差していくことになるのである。
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