「メタバース」に巨額投資、グリーが描く青写真 ザッカーバーグ氏も力を入れる注目分野で勝負
今、世界中のIT関連企業がこうした仮想空間に商機を見いだしており、日本のグリーもその1社。スマートフォン向けバーチャルライブ配信アプリの開発・運営を手がける子会社・リアリティを通じ、今後メタバース事業に本格参入する。
このライブ配信アプリ「リアリティ」では、利用者はアバターを使い、いわゆる「Vチューバー」として顔出しせずに雑談やゲームプレイ動画のリアルタイム配信を行える。視聴するだけの利用も可能で、視聴者は配信者にコメントしたり、有料・無料のギフトを贈り配信を盛り上げたりすることも可能だ。
このサービスを入り口に、その中身をメタバースとして進化させていくのがグリーの考えだ。
同社は2021年8月に開催した決算説明会で、リアリティ社の事業名称を従来の「ライブエンターテインメント」から「メタバース」に変更すると発表。目指す仮想空間の実現に向けて、エンジニアの増員などを中心に100億円規模の投資に踏み切る計画も明らかにした。
3D空間に店を出せる
グリーが目指すメタバースとは、はたしてどんな空間なのか。
アバター名「DJ RIO」氏こと、グリー本体の取締役も兼任する荒木英士・リアリティ社代表は、「アバターを使ったリアルタイムのコミュニケーションができる3D空間にして、そこでは希望者が店を出せるなど、ユーザーがコンテンツに手を加えられるようにしたい」と話す。
さらに、個人が自分でデザインしたものを売ったり、英会話教室を開いて収益化したり、自由に営利活動を行える仮想空間を目指すという。リアリティ社はその実現に向けすでに動き始めており、「メタバース空間に完成系はないが、今後1、2年で目指している空間をある程度形にしたい」(DJ RIO氏)。
グリーの現在の経営の柱はスマホゲーム。広告・メディア事業や先述したバーチャルライブ配信アプリなども手掛けるが、直近の2021年6月期の経常利益(53.7億円)の大半はゲーム事業が稼ぎ出している。
しかし、ヒット作の有無に左右されやすいスマホゲーム事業は浮き沈みが激しく、グリーは今後の成長を牽引する新たな収益柱の育成を迫られている。
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