「メタバース」に巨額投資、グリーが描く青写真 ザッカーバーグ氏も力を入れる注目分野で勝負

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先述のバーチャルライブ配信アプリ「リアリティ」はすでに世界60以上の国・地域で展開する。ただ、配信者が得た有料ギフトの換金手数料やアバターの販売などで収益化を進めているものの、黒字化には至っていない。

DJ RIO氏が語るようなメタバース内の経済圏を仮に実現できれば、さまざまなコンテンツの取引に必要な専用通貨の発行手数料収入などが舞い込むだろう。利用者が増えれば、プラットフォーマーとして安定的な収益を得られる可能性も出てくる。

国内外の大企業が続々参入

リアリティ社の現在の中核事業は同名のバーチャルライブ配信アプリ。アバターの姿になったユーザーが動画をライブ配信し、視聴者はリアルタイムで会話のキャッチボールができる(写真:グリー)

メタバースは世界的な注目テーマとなりつつあり、IT業界の巨人たちも動き始めている。

アメリカのフェイスブックは社名を「メタ」にすることを発表するなど、メタバース構築に本気だ。2021年10月に開催した第3四半期の決算説明会の席上、メタバースなど拡張現実や仮想空間への戦略投資が2021年だけで100億ドルに上ると説明。また、ヨーロッパではメタバースに関連して、今後5年間で1万人の人材を新たに雇用する。

10月29日に同社が行った発表会によれば、メタではVRヘッドセットを用いてメタバースを提供する。まずはプラットフォームとなる仮想空間「ホライズンホーム」を導入。ここでは友達と一緒に動画を見たり、ゲームやアプリの世界に移動して遊んだりすることができるようにする。また、年内にはメッセンジャー機能を強化し、VRヘッドセットの中でやりとりできるようにする。

DJ RIO氏は、こうした世界的な大手が手がけるメタバースとグリーのメタバースとでは、共存共栄ができると見る。

「みんながSNSを趣味嗜好などで使い分けるように、メタバースのコミュニティーも共存が可能だ。当社は日本のアニメのようなビジュアルのアバターを特徴としているほか、誹謗中傷などの規制を強化し平和的な空間を作りたい」(DJ RIO氏)

世界のIT企業の間で仮想空間ビジネスへの注目が高まる中で、グリーのメタバース構想は思惑どおりに実現するか。新たな収益柱育成の挑戦は始まったばかりだ。

武山 隼大 東洋経済 記者

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たけやま はやた / Hayata Takeyama

岐阜県出身。東京外国語大学国際社会学部モンゴル語専攻卒。在学中に西モンゴル・ホブド大学に留学。2021年東洋経済新報社に入社し、現在ゲーム・玩具業界を担当。

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