激論!日本の大手メディアはクラウド時代に耐えられない 池田信夫×岸博幸
米国発のプラットフォーム企業が圧倒的な強さを誇るネットの世界。既存のビジネスが衰退する中で、こぞってウェブ課金強化へ乗り出す新聞、出版社などの伝統メディア--。制度疲労に苦しむ伝統メディアは今後、どのような運命をたどるのか。
池田信夫・アゴラブックス代表取締役(写真左)と岸博幸・慶應義塾大学教授(同右)の論客2人が語り尽くす。
岸 グーグルやアマゾンのようなネット上のプラットフォームを握るIT企業は、広告モデルで大きな利益を稼いでいる。その一方、そうしたプラットフォームにコンテンツを流している新聞、テレビ、雑誌などの伝統メディアは軒並み経営難に陥っている。
プラットフォームの支配力は強烈だ。日本ではその危機意識が不足している。このままではコンテンツをつくっている人におカネが回らなくなり、日本の文化やジャーナリズムが成り立たなくなるように思う。
池田 成り立たなくなってもいいのでは?
岸 もちろんビジネスモデルを進化させずに、旧来的なやり方にしがみつくメディア企業が潰れるのは仕方ない。
池田 50年間にわたってテレビ局が一局も潰れていないほうが異常だ。
岸 それはそのとおりだと思う。でも、文化、ジャーナリズムという社会の重要な基盤をどう維持するのか、という問題は残る。一部のIT評論家は「市民の力で大丈夫」などと言うが、それは間違い。ジャーナリズムには訓練されたジャーナリストが必要だし、本を商品のレベルにするにはプロの企画や編集の力が大きい。
池田 プロフェッショナルであれば独立してやっていけばいい。今やメディアは信じられないくらいローコストで運営できるようになった。記者クラブだって開放され始めており、もはや独立してやっていくうえでの障害はない。