激論!日本の大手メディアはクラウド時代に耐えられない 池田信夫×岸博幸
こういったことは竹中(平蔵・元総務相)さんも言っていたように、ごく当たり前のマーケットメカニズムでやるべき。国内で競争のないところでやっておきながら、いきなり世界で勝てるはずがない。
岸 もちろん大量生産モデルでも、変態型モデルでも競争が前提だ。
池田 競争の結果、強いところに集約していくしかない。日本は業種ごとに細かい会社が多すぎる。それは資本の論理で集約してグローバルに戦える会社にしていく必要がある。必要と言うより、これからはやむをえずそうなると思う。
岸 私もそう思う。再編にあまり時間がかかると手遅れになる。早く再編をしなければ困るんだけれど、なまじ国内市場で稼げるのでつらい。
池田 それはメディアの場合も同じ。メディアの場合は文化、ジャーナリズムに加えて、言論の多様性を守れということを言って、合併だとか再編には反対する。新聞社とテレビ局が株を持ち合うクロスオーナーシップはよくないと主張する。
多様性を持ち出すのは言い訳にすぎない
岸 何を考えているのか。今は寄せ合わないとまともなメディアもできない時代。ビデオもテキストも関係なくなるのに。
言論の多様性を持ち出しても通じない。米西海岸のシアトルの例を見ればわかる。2大新聞社の一つが紙の発行をやめて、紙媒体は一紙になったが、もう一方はネットで頑張っている。それ以外にも地元のジャーナリストが作ったネットメディアも立ち上がり、結局ネットの力で多様性は維持されている。もうさすがに再編に反対はできないでしょう。
池田 原口一博総務相が一時期、クロスオーナーシップを禁止するんだ、と話をしていた。あれは誰に言われたのかな? メディア業界は政治家との関係が強くて、すぐ話を持っていく。要するに、自分たちは市場原理とは違う文化の高邁な原理で動いていると、いまだに本気で思っている。だから普通のマーケットの原理で考えない。新聞社が特殊指定を守るためにカルテルを組むのも、同じような風土から来ている。