激論!日本の大手メディアはクラウド時代に耐えられない 池田信夫×岸博幸

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 新聞、テレビだけではない。出版業界も似たところがある。

池田 出版業界も、返品率40%の大きなリスクを抱えてやるよりも、流通を合理化して個別の出版社が生き残れる仕組みにしないと集団自殺になりかねない。普通、厳しくなってきたらカルテルから抜け駆けをして、自分だけでも生き延びようという「囚人のジレンマ」が始まるのだが、出版界は行儀よく手を取り合って一緒に沈んでいこうとしている。これがちょっと理解できない。

 そのあおりを食っているのが地方の書店。再販価格維持と委託制度との関係で自由に本を仕入れることもできない。自動配本されてきた本が店に積み上がる。書店で本を選べないというのは、知のレベルの低下に直結する。

池田 そうだね。もはや新聞も書籍も、文化エリートによる作品ではなく、ごく当たり前の商品になった。さすがに鍋釜と同じとまでは言わないけれど、作品ではなく商品になっていく。メディアの経営者は、まずその認識を持つべきでしょう。


きし・ひろゆき
1962年生まれ。一橋大経済卒後、通産省入省。コロンビア大MBA。竹中平蔵大臣の補佐官、政務秘書官。2006年退官し、現在は慶大大学院メディアデザイン研究科教授。エイベックス・グループの社外取締役、総務省ICT政策タスクフォース委員も。

いけだ・のぶお
1953年生まれ。東大経済卒後、NHKにディレクターとして勤務。慶大博士課程修了。国際大学教授を経て現在、上武大学大学院教授。電子出版のアゴラブックスを今年創業した。専門はマクロ経済学だが電波行政やネットにも詳しい。

(『週刊東洋経済』2010年7月3日号[6月28日発売] 特集「新しい支配者は誰か? メディア覇権戦争」より 写真:今井康一)

 

 

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