「鬼滅の刃」TV版が映画と同じ内容でも納得する訳 全7話、日曜23時台放送に見たテレビ局の意識変化

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

実際、サッカー日本代表のワールドカップカタール大会アジア最終予選はDAZNが全試合を配信する一方、テレビ局の放送はテレビ朝日のホーム戦のみ。「アウェー戦は配信でしか見られなくなった」ことを嘆く声が今なお飛び交っています。CM収入に頼るテレビのビジネスモデルが過渡期を迎え、「資金面では動画配信サービスに勝てない」という事態が起きはじめているのです。

しかし、資金力の面でかげりを見せながらも、いまだ「最も多くの人々に見てもらいやすいのはテレビ」であることは変わっていません。さらに、「そもそもテレビ放送とネット配信ではユーザーの生活習慣や使用ツールなどが異なるため共存できる」という見方も広がりつつあります。そんな背景があって、「独占放送にはこだわりすぎず、動画配信サービスなどと共存する形で視聴者に届けていこう」という意識に変わりはじめているのでしょう。

その点、今回の「無限列車編」もフジテレビ系の放送から45分遅れの日曜24時にABEMA、Amazonプライム・ビデオなど26の動画配信サービスで配信スタート。また、6日遅れの土曜23時30分にも、TOKYO MX、BS11、群馬テレビ、とちぎテレビなどの独立局でも放送するなど、独占放送とは真逆の形であり、さまざまなメディアで見られるようになっています。

かつてのフジテレビなら、このような形での放送は受け入れなかったのではないでしょうか。「ユーザビリティ重視」「コンテンツファースト」を求める時代の流れに沿った意識変化を感じてしまうのです。

もちろんテレビは、「鬼滅の刃」のような優れたコンテンツを放送するだけのプラットフォームというわけではありません。その制作力は現在もネットコンテンツとの比較優位性があるだけに、自ら「鬼滅の刃」のような作品を生み出そうという動きも活発化していますし、今後はコンテンツメーカーとしての強みを全面に押し出すことで生き残りを図っていくでしょう。

再放送・再利用でのマネタイズ

前述したように、CM収入に頼るテレビのビジネスモデルが過渡期を迎え、時代に合うマネタイズが求められています。だからこそ魅力的なコンテンツを生み出すとともに、ムードが高まっているのが、人気コンテンツの再放送・再利用。実際に「過去の番組はテレビ局にとっての財産であり、これをどう生かして収入につなげていくか」が模索されています。

次ページフジテレビが打ち出したドリフ特番の真価
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事