激烈!メディア覇権戦争--新聞・テレビ・出版×アップル・グーグル・アマゾン…新しい支配者は誰か?
もう一つの圧力は、制度疲労を起こしている現在の出版流通の仕組みだ。再販制度と委託販売制度の組み合わせにより成り立ってきた日本の出版流通は、1996年をピークに縮小し、返品率40%という異常事態の中で到底維持できなくなっている。一度仕入れた商品は小売りの責任で売り切ってもらう形になれば、それが「正常化」といえるだろう。
そして、もう価格拘束を守るための従来型の言い訳は通用しない。
「ベストセラーばかりが流通し、部数主義に陥る。良書の発刊が難しくなる」>>今も部数主義。むしろ電子書籍を普及させれば良書の発刊を行いやすくなる。
「日本全国で同じ価格で本を読むことができなければ、日本の知識レベルが下がる」>>アマゾンなどのオンライン書店がある。電子書籍を活用すればいいし、そもそも知識を得るためのツールは多様だ。
「スーパーなどでベストセラーの安売りが横行する」>>費用を大幅に下回る形での販売は不当廉売でそもそも独禁法違反。多くの国が採用しているように、書籍については表示価格に対する値下げ幅を制限する方法もある。
3 グローバル化 目の前には「世界市場」が!
電子化は暗い話ばかりではない。一つはグローバル化だ。紙を脱いだ本は世界市場へと広がっていく。その先兵と目されるのは、マンガや写真集だ。英語と日本語の間のカベをうまく乗り越えることができれば、1億2000万人ではなく世界の60億人の市場を対象にできる。逆に世界の知識を幅広く日本に持ってくることもできる。
ただし、問題はグローバル化した流通の担い手が誰なのか、ということ。世界に通用するマンガ家や小説家を世界に売り込む力を日本の出版社が持っているかどうか。