激烈!メディア覇権戦争--新聞・テレビ・出版×アップル・グーグル・アマゾン…新しい支配者は誰か?
この夏からは「グーグルエディションズ」により、出版社と契約をしたうえで行儀よく電子書籍を販売する。グーグルは「地球上のあらゆる情報を検索できるようにする」というミッションにのっとって、軋轢をものともせずに「紙の電子化」を進めており、いわばこの市場の開拓者だ(右上年表)。グーグルに嫌気した大手出版社がアマゾンへ擦り寄り、さらにアマゾンに不満を持った出版社がアップルに擦り寄った。そして今度は当初の敵であったはずのグーグルにも擦り寄っていったわけだ。
多くのベストセラー書籍が電子化したことで、米国の電子書籍市場は09年実績が1億6950万ドル、全出版市場に占める比率は3・31%になっている(米国出版社協会調べ)。決して大きくないが、前期比2・8倍というすさまじい成長率だ。
そして電子化の流れは日本にも及ぶ。今や多くの人がパソコン、携帯などのディスプレーを通じて情報を得ることに慣れており、「紙のほうが読みやすい」という情緒的な意見は吹き飛ばされていく。
当然、伝統メディアの経営にも大きな影響を与える。これまでの業界慣習、古い既得権益が崩れていく。わかりやすくその流れを説明するならば「機能分解」「自由価格化」「グローバル化」「コングロマリット化」だ。
1 機能分解 著者が独立。編集者も独立
アマゾンは日本語書籍に対応した「キンドル」の発売に踏み切るに当たり、いくつかのハードルを自らに課した。一つはベストセラータイトルを9割程度はラインナップできること、もう一つが小売価格をアマゾンが決定する「ホールセール契約(卸売りモデル)」とすることだ。
アップルの影響を受け、アマゾンは続々と「エージェンシーモデル(販売価格を出版社が決め、販価の30%をアマゾンが徴収)」に切り替えていった。しかし日本はまったく事情が異なる。