意志の力は不要!「すぐやる人」になるコツ2つ 「やる気が起きる」のを待っても永遠に起きない

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②「最初の一歩」のハードルを下げる“10秒アクション”

毎朝のランニングや資格試験の勉強など、新しく始めたいことがあるのに、どうしても一歩踏み出せない。前のページでお伝えした「仮決め・仮行動」をしようと思っても、体が動いてくれない……。

そんなときに有効なのは、最初の一歩のハードルを極限まで下げてみることです。

具体的には、まず試しに10秒でできることから動いてみるのです。私はこれを「10秒アクション」と呼んでいます。これは、文字通り「10秒あればできる具体的行動」のことです。

たとえば、ランニングを始めたいのに、なかなか動けないのであれば、「最初の10秒はどんなことをするのか?」と考え、それだけを実行してみます。たとえば「シューズを履く」「ランニングウェアに着替える」といったことをとりあえずやってみるのです。

勉強であれば、「テキストを開く」、早起きであれば、「前の晩にアラームをセットする」、面倒な仕事であれば、「使用するソフトを立ち上げる」といったイメージです。

たったこれだけのことでも、劇的な変化が訪れます。

たしかに、10秒でできるアクションは些細なことです。たとえば、地方に移住したいと思いつつ何も動けていないとします。この場合、10秒でできることは、「移住候補地をネットで調べる」とメモ書きしたり、実際に移住した知人や友人を書き出したりすることくらいです。

でも、10秒アクションの段階で失敗する人は誰もいません。「失敗しない」からこそ、その後の行動につながるわけです。

10秒着手してみてスムーズにいくのであれば、そのまま続けましょう。10秒アクションがきっかけとなってその後、勉強、ランニング、筋トレ、仕事、片づけなどが15分、30分続いたというのは、よくあることです。

この10秒アクションの効果は、脳科学的に証明されています。

『やる気に頼らず「すぐやる人」になる37のコツ』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

前述のとおり、人間の脳は生命維持のため、できるだけ変化を避け、現状を維持しようとする防衛本能が働いています。

一方で脳には先述したとおり「可塑性」という性質があり、ほんの少しずつであれば変化を受け入れると言われています。つまり、10秒という小さなアクションであれば、脳は変化に対応できるのです。

また、10秒アクションという小さな一歩でも、側坐核を刺激する効果があります。

やる気が起きるのを待っていても永遠に行動することはできません。「まず動く」ことで、やる気は後からついてくるのです。

ぜひ、みなさんも「仮決め・仮行動」「10秒アクション」を試してみてください。

大平 信孝 メンタルコーチ

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おおひら のぶたか

株式会社アンカリング・イノベーション代表取締役。メンタルコーチ。中央大学卒業。長野県出身。会社員時代、自身が部下育成に悩んだ経験から、脳科学とアドラー心理学を組み合わせた、独自の目標実現法「行動イノベーション」を開発。部下育成のためのメソッド「行動イノベーション・トーク」を広めるべく、「行動イノベーションアカデミー」を運営。これまでサポートしてきた企業は、IT、通信教育、商社、医療、美容、小売りなど40以上の業種にわたる。主な著書に、『本気で変わりたい人の行動イノベーション』(秀和システム)、『先延ばしは1冊のノートでなくなる』(大和書房)、『指示待ち部下が自ら考え動き出す!』(かんき出版)など。

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