もちろん、岡山駅から延びている路線には特急列車が走っていないものもある。ひとつは津山線。その名のとおり中国山地の山の中、津山盆地を目指すローカル線だ。いまもキハ47形が活躍しているという点で、こちらも昭和の面影を色濃く残す。
津山線の快速「ことぶき」に乗れば1時間と少しで津山まで。なぜ「ことぶき」なのかというと、福渡・亀甲などいかにも縁起のいい名の駅が津山線にはたくさんあるからなのだとか。縁起は悪いよりもいいほうがいい。
そしてこの津山線の終点である津山駅は、それこそ昭和の昔、蒸気機関車の時代に使われていた扇形機関車庫が保存されており、ちょっとした鉄道博物館として整備されている。こちらに足を運んでみれば、中国山地を走る鉄道が単なるローカル線ではないということがわかるはずだ。
山地にある鉄道の要衝
津山駅も岡山駅に負けない中国山地の要衝で、津山線のほかに北に延びる因美線・山地を分けて東西を結ぶ姫新線が乗り入れる。因美線はかつて岡山と鳥取方面を結ぶ重要路線だったこともあるが、1994年に智頭急行が開業すると存在感が低下。岡山側は運転本数の少ないローカル線になった。
智頭急行は高架やトンネルが大半という新幹線のごとくハイスペック路線。特急「スーパーいなば」「スーパーはくと」が行き交う大動脈になっている。
それに対して岡山県内の因美線は地味に過ぎる存在になってしまった。が、それでも『男はつらいよ』の最終作で寅さんが旅をした美作滝尾駅など、味わい深い駅舎がいまも残っているから訪れる価値は充分だ。
姫新線はその名のとおり姫路から新見までを結ぶ長大ローカル線。これまた運転本数が少なく旅をするのに一苦労の路線ではあるが、なだらかな山が続く吉備高原らしい光景を車窓から楽しめる。
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