行き先の数は「大都会並み」・岡山ご当地鉄道事情 中国・四国各地を結ぶ要衝、昭和を感じる路線も

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姫新線の終点の新見駅も中国山地のターミナル。南北には伯備線が通り、東西には東は姫新線、西は芸備線。いまではほとんど跡形もないが、ここにも津山同様に機関区が置かれていて、蒸気機関車が必死に山越えに挑む手前の休息所でもあった。ちなみに、かつての新見機関区は、下山事件の“犯人”になった蒸気機関車D51があちこちへの異動を経て最後を迎えた場所でもある。

中国山地の中をのんびり走る姫新線(撮影:鼠入昌史)

このように、大動脈も大ターミナルもローカル線も盛りだくさんの岡山県。ほかにも岡山市内には路面電車が走っているし、東に向かえば山側の山陽本線だけでなく海沿いをゆく赤穂線も大きな存在感を放つ。総社駅から県境を越えて広島方面に走る三セク路線・井原鉄道だってある。

日本三大稲荷の1つとされる最上稲荷の大鳥居を横目に吉備線がゆく(撮影:鼠入昌史)

また、岡山市に近いところを走っているローカル線・吉備線。こちらは沿線に吉備津神社・吉備津彦神社・最上稲荷といった有名寺社が目白押し。さらには羽柴秀吉の“水攻め”でおなじみの備中高松城跡も沿線スポットの1つだ。岡山、つまり吉備がかつて中央のヤマト王権にも負けない勢力を誇っていた時代がしのばれる。岡山では古代ロマンの風に吹かれることもできるのだ。

選択肢がありすぎて迷う?

そうして岡山の鉄道を巡り終えたら、次にどこに向かうのか。やはり定跡どおりならば広島方面を目指すのか。いやいや瀬戸大橋を渡って四国か、それとも山陰か。この次の行き先に迷うほどというのも岡山ならではといっていい。こんなに次の選択肢に恵まれている鉄道ネットワークも、他の都道府県ではめったにないのではないか。

宇野駅は宇高連絡線の接続駅だった。いまは面影はない(撮影:鼠入昌史)

ちなみに筆者の場合はどうしたって四国に向かいたくなる。宇野線の終点、宇野駅はかつての宇高連絡線の接続駅だ。いまはその面影はないけれど、なんとなく港町の雰囲気が漂っている。瀬戸大橋に通じる児島駅は日本で初めて国産デニムを生産した町だとか。

温暖で過ごしやすい瀬戸内に面する岡山は、どれだけいても楽しいくらいに見どころが多い。倉敷美観地区ももちろんいいですが、それだけで岡山の旅を終えたらあまりにももったいないのです。

鼠入 昌史 ライター

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そいり まさし / Masashi Soiri

週刊誌・月刊誌などを中心に野球、歴史、鉄道などのジャンルで活躍中。共著に『特急・急行 トレインマーク図鑑』(双葉社)。

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