日本一過酷な山岳縦走「会社員」参戦が実は多い訳 約415kmをほぼ無支援で8日以内に走破する

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デジタル機器の研究開発を行う会社員の星加博之さん(40)は、2018年に初出場し、7日17時間52分(18位)で完走した。今夏のTJARにも出場している。

子どものころは病気で激しい運動への制限があり、弓道など心肺機能に負担の少ないスポーツをしていた。社会人になり、富士山に登ったことがきっかけで関東近郊の山に行くようになり、同時期にランニングも始めた。

「初めてのレースはハーフマラソン。完走したら達成感があって、走るのが楽しくなった」

走るとスッキリして、仕事のストレス解消にもなった。山を走るトレイルランを知り、レースにも参加するようになった。

TJAR2018を完走した星加さん(写真:金子雄爾)

30代のうちに、何か目標を掲げてやり遂げたい

TJARを知ったのは今から10年ほど前。(東京都と神奈川県との境に位置する)陣馬山の小屋の主人からTJARのレポートが載っている雑誌を見せてもらったのがきっかけだ。当時は、とくに興味を感じなかったという。

「そんなレースがあるんだ、と。400㎞以上と聞いて、別世界だと思っていた」

そのうち、マラソンやトレイルランニングの距離が延び、国内最高峰の100マイルレースであるUTMF(ウルトラトレイルマウントフジ)の第1回大会に参加した。

「38時間くらいかけて完走しました。達成感があって、そこで一度、燃え尽きてしまった」

山や走ることから離れ、仕事ばかりしていた30代半ば、「30代のうちに、何か目標を掲げてやり遂げたい」と思ったとき、ふと山小屋の主人から聞いたTJARのことを思い出した。

「ネットで調べたら、けっこう大きい大会になっていて。テレビ放映されていたことも知らなかった」

星加さんは、TJARを目指すことを決めた。

「5km走るところから、徐々に距離を伸ばしていきました」

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