SNSがアメリカと日本にもたらした「真逆の現象」 どちらもコミュニケーション不全状態に

拡大
縮小
SNSの登場が多くの人のコミュニケーションに影響を及ぼしています(写真:metamorworks/PIXTA)
いまの社会は、SNSの発達などによりコミュニケーションツールは非常に充実しています。しかし、本当にそれによって私たちはコミュニケーションをうまく行えているでしょうか? ちょっと考えてみても、じつに怪しく心もとない感じがします。私は、SNSがじつは人間関係を結びつけるどころか、むしろ分断するツールになると思っています。その理由を拙著『読解力の強化書』をもとに解説します。

ある現象によって分断されるアメリカ

SNSが私たちを分断するツールになる──。そんな危険性が巷に知られるようになったのは、2008年、バラク・オバマがマケインを破り大統領に就任した際の、選挙戦にさかのぼります。

当時、民主党のオバマ陣営はSNSを駆使してライバルに大きな差をつけて勝利しました。陣営と支持者たちの間で、SNSを通じてさまざまなやり取りが行われました。それが集票につながった、最初の大統領選挙だと言われています。

その後、あるリサーチャーによる調査によって、面白い現象が明らかになりました。民主党と共和党のそれぞれのブログコミュニティーのつながりを解析したのです。すると、それぞれのつながりの中で完結し、両党の間でのコミュニケーションがほとんど行われていなかったのです。

このことによって、SNSは同質性の高い集団の中においてはコミュニケーションを活性化させる働きが強い一方、立場や意見が違う者同士を排除する閉鎖性が強いツールであることが指摘されるようになりました。

次ページ読解力を決定的に失ってしまったアメリカ人
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
猛追のペイペイ、楽天経済圏に迫る「首位陥落」の現実味
猛追のペイペイ、楽天経済圏に迫る「首位陥落」の現実味
ホンダディーラー「2000店維持」が簡単でない事情
ホンダディーラー「2000店維持」が簡単でない事情
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT