周りの雑音に潰れる人と負けない人の決定的な差 成果を出すのに必要なのは「特別な才能」ではない

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余計な「ノイズ」を真に受けてはいけません(写真:aijiro/PIXTA)
今年のアメリカン・リーグMVPの最有力候補とされているのが、メジャー・リーガー大谷翔平選手。今や誰もが認める「二刀流(ピッチャー&外野手)」の超一流選手です。かつては「二刀流なんて無理だ」という声も多くありました。それにもかかわらず、大谷選手はそのような「周囲からの雑音」も見事にはねのけ、数々の偉業を成し遂げています。
韓国で20万部を超えるベストセラー『SIGNAL 10億分の1の自分の才能を見つけ出す方法』を生み出した作家のチョン・ジュヨン氏は、大谷選手のような目覚ましい成果を出せるかどうかは、「特別な才能」があるかどうかではなく、周囲から発せられる「シグナル」をどう受け止めるかにあると分析します。

なぜか成績がよくなった生徒たち

私たちは、周囲から発せられる「シグナル」に大きな影響を受けています。そのことがよくわかるこんな報告があります。ハーバード大学の心理学教授ロバート・ローゼンタールは、かつてサンフランシスコの小学校で、ある実験を行いました。2割の生徒を無作為に選び、「この子たちはIQが高い」と言ってそのリストを担任に渡したのです。するとなぜか、8カ月後にその生徒たちはほかの子たちに比べてテストの平均点が高くなっていたのでした。

一体なぜ、ローゼンタールが無作為に選んだ生徒の成績がよくなったのでしょうか? 答えはシンプルです。それは、担任の教師がローゼンタールの「ハーバード大の教授の私(ローゼンタール)が選んだこの子たちを特別だと思いなさい」というシグナルを受け取ったからです。「優秀に違いない」「優秀にしなければいけない」。教師たちのそんな思いが、児童たちの学力の向上につながったというわけです。

このようにシグナルは、ほんのささいなことで人の人生に大きな影響を与えてしまいます。何より気をつけなければならないのは悪いシグナルです。悪いシグナルは「ノイズ」となって、人の判断や行動、あるいは目標設定すら変えてしまいます。ノイズにどう向き合うか、これが極めて重要な問題なのです。

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