利用総額「7億超え」木更津の地域通貨への本気度 高齢者も使えるようにとリストバンド決済考案

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木更津市内で展開する電子地域通貨「アクアコイン」。市内店舗への導入率は約30%まで伸びているという。その普及の取り組みについて取材しました(写真:木更津市役所提供)
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千葉県木更津市──。人口約13万人を有するこの地域で、近い将来、キャッシュレス決済が街のインフラとして機能するかもしれない。

木更津市内で展開する電子地域通貨「アクアコイン」は、木更津市内限定で利用できるキャッシュレス決済だ。決済方法は、PayPayやLINE Payなどと同じで、加盟店に設置されたQRコードを専用アプリで読み取り、支払い額を入力するだけ。ただし利用するには、1円=1コインの価値がある「アクアコイン」をアプリ内でチャージする必要がある。

2018年10月、木更津市・君津信用組合・木更津商工会議所の三者連携によって運用が開始され、2021年9月12日現在、加盟店舗数は約710店舗。運用母体の1つ、木更津市産業振興課・島村領一係長によると、市内店舗への導入率は約30%まで伸びているという。

島村氏は「アクアコインを単なる決済手段ではなく、街づくりのインフラとして普及させていきたい」と意気込む。PayPayをはじめ大手が軒を連ねる“キャッシュレス全盛時代”に、いったいどのような取り組みをしているのだろうか?

地域経済とコミュニティーの活性化が目的

そもそも地域通貨とは、地域の団体や行政などが独自に発行している地域限定のお金だ。さらにその地域通貨を電子決済によってキャッシュレス化したものが、電子地域通貨と呼ばれている。

近年はさまざまな地域で電子地域通貨が取り入れられており、アクアコイン以外にも、岐阜県飛騨高山地域の「さるぼぼコイン」や、東京都世田谷区の「せたがやPay」などが有名だ。しかしなぜ、地域で続々と電子地域通貨を導入し始めているのだろうか?

背景の1つには、「地域経済の活性化」がある。

われわれが普段利用している「円」は法定通貨と呼ばれ、全国どこでも使うことができる。が、汎用性、流動性があることによって地域内にとどまらず、経済活動の集積地である大都市圏に流出してしまう傾向にある。

一方、地域通貨は利用地域こそ限定されるが、それによって大都市への通貨流出を防ぎ、地域内でお金を循環させることが可能。島村氏も、「地域通貨の目的は、地域の外にお金を流出させないこと」と話す。

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