利用総額「7億超え」木更津の地域通貨への本気度 高齢者も使えるようにとリストバンド決済考案
とはいえ、いくら利用場所が増えても、スマートフォンを持っていなければアクアコインで決済できない。そして高齢者の中には、スマートフォンを持っていない人も多い。木更津市は、この点も見逃さなかった。
今年に入ってから君津信用組合やフィノバレーと共同で、リストバンドにICチップを内蔵した「リストバンド決済」を考案。6月から9月まで木更津市内でも高齢化率の高い「富来田地区」で、7月から来年3月まで「真舟地区」でリストバンド決済の実証実験を実施。協力してくれた高齢者の反応は上々だったという。
「実証実験に参加する高齢者の方々からは、『会計が楽になっていい』『荷物が少なくなってうれしい』といった声をいただきました。すごくいい方向に実験できましたね」(島村氏)
今回の実証実験では移動スーパーなどに利用シーンを限定したが、今後は利用シーンの拡大も見据えて本格運用を目指す。
アクアコインによって行政手続きも迅速に
さらに木更津市役所では、アクアコインで行政手続きができるよう内部環境の整備にも取り組んでいる。住民票や一部行政書類の交付手数料をアクアコインで支払えるのがその一例だ。
また、今年の4月から12月末までにマイナンバーカードを交付申請した人には、アクアコインのポイントを1000ポイント付与する。
これは、総務省が行っている「自治体マイナポイントモデル事業」の採択団体に木更津市が選ばれたことによる取り組み。ポイントの付与は今年の11月から始まる。
今年の10月1日からは、市県民税、 固定資産税、都市計画税、軽自動車税、国民健康保険税をアクアコインで納付できるようになった。納付書に付いているバーコードをアプリ内のカメラで読み取れば、家にいながら納税できる。
島村氏は、行政側がキャッシュレス決済を導入することで、手続きの“迅速化”を推進したい考えだ。
「特別定額給付金のとき、紙で審査をしていると給付に時間がかかってしまいました。でもアクアコインを活用することで、早ければ1日で給付できるようになる。行政手続きの迅速化という面でも、アクアコインはこれから重要になってくると思います」
今後はアクアコインでふるさと納税ができる仕組みや、アプリ内でボランティア団体や市民団体に寄付できるクラウドファンディングのような機能の実装も検討しているという。
「アクアコインは『キャッシュレス決済』という枠に収まらず、木更津市内のあらゆることに関われるようにする。それが今後のビジョンです」(島村氏)
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