42億分の1に暴落も「暗号資産」トラブル増の背景 10代、20代の若者が巻き込まれるケースが多い
世界中の取引をすべて記録するには「コンピューターの性能が良くないといけない」(柏村さん)。現在はスーパーコンピューターと呼ばれる高性能の機材を何台も稼働させる必要があり、「電力を相当消費する」(同)。
こうしたコンピューター拠点が「世界に1万700カ所ぐらいある」と言うのは国際通貨研究所の志波和幸主任研究員。高性能コンピューターを設置して稼働させるため、拠点は「数年くらい前から工場のようになっている」(同)。電力料金や用地コストが安く、機材冷却用の冷たい水が入手できるか、空冷が可能な寒い高地になり、ヒマラヤやロッキー山脈のある中国や北米の山地に集中しているという。
機関投資家や企業も参加するように
BTCの発行量も増えて、取引が拡大したが、相場は乱高下が激しい。1BTCの価値は当初、1円程度だったが、今年は約710万円相当まで高騰したものの、現在は数百万円程度の水準で取引されている。
ビットコインの仕組みをまねるなどして、暗号資産はこれまで1万1千種類ぐらい誕生した。現在は「値段や時価総額が表示されているのが3千くらい」(志波さん)。残り8千くらいは取引価格がついておらず、実態が不明だという。
暗号資産関連データ提供会社のコインマーケットキャップによると、暗号資産全体の時価総額は今年5月半ばに280兆円規模に達した後、2週間あまりで半分に減った。7月末には約180兆円規模となった。このうちビットコインが半分近くを占める。
暗号資産に投資するのは当初、個人投資家やヘッジファンドだった。志波さんによると、最近は米カリフォルニア州職員退職年金基金など機関投資家、電気自動車メーカー米大手のテスラモーターズなど企業も参加するようになっている。
暗号資産は支払い手段となるのか。「受け取ってくれるのかはお店次第だが、価値が大きく変動するので、実際は使いにくいのではないか」(前出の市川さん)
裏付け資産がないため妥当な価値を算定できず、成り行き任せで相場変動は激しい。暗号資産への投資は儲かるという話に、くれぐれもご用心を。
(文/浅井秀樹)
※週刊朝日 2021年10月15日号
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