42億分の1に暴落も「暗号資産」トラブル増の背景 10代、20代の若者が巻き込まれるケースが多い

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株などさまざまな投資をしてきたAさんが、暗号資産に本腰を入れ始めたのは2017年ごろ。3千万円くらいからスタートし、現在の資産は10億円規模になっているという。

「どんな投資でも簡単に儲かるものではない。暗号資産は相場変動が大きいが、うまく上昇相場に乗れたときは利益も大きい」(同)

暗号資産への投資を続けるAさんは「お金儲けはもう卒業して、いまはゲーム感覚の世界」と話す。大損も経験した。約55万ドル(約6千万円)を投資していた暗号資産のTITANが、ただ同然に暴落した。

時価総額が2200億円規模に達したこともあったTITANだが、今年6月半ば、1日で42億分の1に暴落した。例えば、株は発行企業の収益や保有資産などが価値の裏付けとなるが、暗号資産はデジタルの世界のみに存在し、裏付けが何もない。

「上がるという人が多ければ値上がりし、下がるという人が多ければ値下がりする。とても相場変動が大きく、投資というより投機対象に近い」

と話すのは、三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフマーケットストラテジスト。

暗号資産をめぐるトラブル

暗号資産をめぐるトラブルが10代、20代の若者を中心に増えており、国民生活センターが注意喚起している。ネットで知り合った人の紹介で購入し、海外サイトに送金したが、連絡がとれなくなったなどのトラブルが増加中だ。こうした相談がセンターに年間3千件規模である。

そもそも、暗号資産は誰が発行者なのかなど、わからない部分も多い。暗号資産の誕生は、ビットコイン(BTC)にさかのぼる。第一生命経済研究所の柏村祐主席研究員によると、ネット上にナカモトサトシと名乗る人がBTCについて論文を発表し、09年初めに自ら取引を開始したとされる。金融機関の介在がなく、利用者同士がネット上で取引可能で、当初は投機対象というより、ネット上の共通通貨になると、発案者は夢見ていた。

BTCの基本的な仕組みとして、約10分ごとにすべての取引履歴を台帳に記録することがある。最初に台帳へ記録できた人にだけ、報酬としてBTCが支払われる。台帳の記録者への報酬は当初、50BTCだったが、4年程度で半減していく仕組みで、現在は6.25BTCになっている。発行総数は2100万BTCと決められており、2140年ごろ到達するとみられている。

一方、10分ごとの取引履歴を記録した台帳をつなぎ合わせていくことをブロックチェーンと呼ぶ。分散型の台帳管理とされ、誰がいくら保有しているか、誰でも見えるところで情報が書き換えられるので改ざんが非常に難しいとされる。

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