再建築不可物件あえてリフォームする人の懐事情 不動産投資の新たな流れ、高い利回りも可能?

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「再建築不可物件が最初から“宝の山”になると思っていたわけではまったくないです。もともとは年々深刻の度合いを増している“空き家”問題への対応から始まったことでした」

入江氏は続ける。

「たまたま営業していたエリアで、廃屋のような空き家が放置されていて、近隣の人から『何とかならないか』と相談されたのがきっかけでした。調べてみるとこれが再建築不可物件。所有者も処分に困っていたんです。これはもうリフォームして、有効活用するしか手がないなと考えました」

こんな偶然の出会いから始まった話なのだが、次第に評判を呼び、入江氏は“専門業者”として知られるようになっていった。入江氏の話に耳を傾けてみよう。

「誰もが嫌がる“不良物件”なら破格の値段で手に入れることができるし、空き家問題の一助にもなる。これまで忌避されていた物件でも、時代に合った付加価値をつければ新たなビジネスチャンスも生まれると気づいたんです」

逆転の発想が、まったく新しい不動産投資を生み出し、ここへ来て脚光を集めつつある。

ボロ家や空き家をリフォーム

「再建築不可のボロ家や空き家をリフォームし、新築同様にして売却したり、賃貸物件として運用したりする投資法が人気です。都内では西よりも東側エリアの物件がとくに旨味があり、徒歩10分以内の駅チカの戸建てでも200万〜500万円が相場。相続したものの、これまで売るに売れなかった再建築不可物件の空き家が、ここへきてどっと市場に出てくるようになり、今までにない盛り上がりを見せています」

売りに出される物件の多くは築40~50年以上と、本来なら有利な条件での売却や賃貸が難しい老朽化した家屋が大半だ。建て替え不能な物件をどうすれば投資物件にすることができるのだろうか。

「再建築不可物件は法律上、増築も改築もできない。ただ、修繕や大規模な模様替えは条件付きで認められているので、これをいかにやるかが勝負になってきます」

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