わが子が「問題だらけ」に見える親に伝えたい危険 親自身の「色眼鏡」に問題の本質がある

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(3)注意をしても、改善できない

その注意が伝わっていないかもしれません。注意をしているつもりでも、実際は感情あらわに怒っていることが強く伝わり、内容はほとんど伝わっていないことはよくあります。どのような注意をされているかわかりませんが、子どもは内容よりも感情を受け取ってしまうことがあるため、それこそ“注意”が必要です。

(4)打ち込むこともなく、とにかく適当にこなすという感じで、面倒くさいが口癖

親から監視され、あれこれうるさく言われると、親にこうした態度をとるようになる子は多くいます。親は「うざい」以外の何者でもないと、子どもが感じている可能性すらあります。

(5)勉強も親がつきっきりでやらせて

これをやればやるほど、ますます子どもは勉強から“自主的”に遠ざかっていきます。少し厳しい言い方にはなりますが、中学2年生でこの状態は望ましいと言えません。「子どもが勉強しないから親がつきっきりにならなければならない」のではなく、「つきっきりにいつまでもしているから子どもが勉強しなくなる」ということが実態と考えます。

(6)ADHDを疑い、病院受診も考えています

以上のように、極めて当然と思われる反応をしている子どもに対して、病院受診を検討されていることに少々危険を感じます。

子どもは学校生活を楽しく送っている状態ですから、極めて健全であり問題があるとは思えませんが、親の目から見たら問題だらけの子に映っているわけです。子どもにすればおそらく、納得いかないでしょう。

「親の色眼鏡」に問題の本質がある

なぜ、このようにすべての項目を180度ひっくり返してお伝えしたかといいますと、過去4000人以上の子どもたちを指導し、この5年間で8000人以上の母親からの相談を受けてきた経緯から、かなりの確率で「親の色眼鏡」に問題の本質があると感じてきました。

つまり、親がどういう眼鏡をかけているかによって、子どもの見え方が変わり、さらに、声かけが変わり、対応方法が変わるということです。

今、猪俣さんがかけている色眼鏡は、子どもの「欠点、短所ばかりが見える色眼鏡」です。すると、マイナス面ばかり探し、それを指摘して、また新たな不安を作り出します。その結果、指摘され続けた子どもの気持ちはどうなるでしょうか。

自己肯定感が下がることは言うまでもなく、「親をうざいと思い、イラつく」「親への対応が面倒になり、悪態をつく」「適当にあしらっておく」こうした反応を示すことが多くあります。

現状を変えていくには、「短所が見える色眼鏡」を「長所が見える色眼鏡」に変える必要があります。ですから、子どもをどうこうしようとか、あれこれ声かけすることでは現状は何も変わらないということです。

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