訂正を迫られた日経平均は再度3万円を回復する 足元の値固めが終われば年末までに上昇へ

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一方、TOPIX(東証株価指数)は、3月高値に対して9月高値が上抜けているように、年末までの高値は9月よりさらに高いと考える。

「足元で株価が底固め」と予想する最大の要因は、やはり「9月半ば以降の株価の下落はその前の誤った上昇の修正にすぎない」ということだ。つまり、何か新たに日本を含む世界の経済や企業収益に深刻な悪化が生じたわけではない。誤りの訂正という「仕切り直し」が済んだのだから、そこから一段と株価が押し下がる必要はないだろう、という見通しだ。

王道である企業収益に着目すべきだ

さらに日本の株価が年内再上昇を示す、と予想する要因として、やはり株価分析の「王道」である、企業収益に着目すべきだと考える。というのは、株式に投資することは企業を買うことであり、教科書的だが株価は最終的には企業価値(企業収益や企業の資産)に帰着すると考えるからだ。

「いや、収益がどうだ、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)などの価値判断がどうだ、というのは、理屈をこねまわすだけで役に立たないアナリストの御託(ごたく)であって、そんなものより、材料やテーマ、思惑や需給だけ見ていればよいのだ」と語る個人投資家の方も多い。

そう思うのであれば、自身の信念に基づき、自由に株式を売買すればよいと思う。市場は法規制などを犯さない限り、何をやるのも自由な場であって、誰からも「ああだこうだ」と言われる筋合いはないし、筆者もそうした方に対して「収益が大事だ」などと説得する気はまったくない。

ただ、筆者が「収益が王道である」と考えるのも筆者の勝手であって、誰かからあれこれ言われる筋合いはない。「みんな違って、みんないい」のである。

それはともかく、足元では2月本決算企業の3~8月期の収益発表が佳境だ。今のところはイオン(非食品部門の収益が不振だった)など、失望を呼んだケースも多く目につく。実績値については、それは致し方なく、まだ緊急事態宣言などが発令されていたため、非必需品の小売りや、外食、旅行関連などは収益の持ち直しが難しかった。

しかし、そうした内需非製造業の先行きについて参考になるものとして、マクロ経済統計で「景気ウォッチャー調査」が10月8日に発表されている。この調査は、小売店(百貨店、スーパー、コンビニ、家電量販店など)の従業員や、タクシー運転手、レストランやスナックの経営者、ホテルやテーマパーク、パチンコ店の従業員など、景気の浮沈を最前線で感じているような人たちにアンケート調査を行い、景況感をまとめているものだ。

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