「いつも人生楽しそうな人」、最強スキルは3秘訣 「ライフ・シフト2」が断言「今が幸せ掴む絶好期」
たとえば、2020年春、富士通の人事部門トップである平松浩樹が率いるチームは、東京のオフィスで働く社員のほぼすべてに当たる約6万人を2週間足らずの間に在宅勤務へ移行させた。当時、平松は私にこう語った。
「もう後戻りすることはありません。全員がオフィスに毎日出勤する時代に戻ることはありえない。これまで社員は通勤で毎日2時間を無駄にしていました。その時間を学習や研修、家族との時間に費やせるようになったのです。いま考える必要があるのは、職業人生を生産的で創造的なものにする方法です。リモートワークをうまく機能させるためのさまざまな方法論が求められています」
このように考えたのは、平松だけではなかった。世界中の企業の幹部チームが同様の取り組みに乗り出した。
「新しい長寿時代」の新しい生き方
新型コロナがもたらした経験をきっかけに、日本の働き手と家族は、「新しい長寿時代」を築くための千載一遇のチャンスを迎えている。
新しい人生の「ストーリー(物語)」を紡ぎ、学習と移行を通じて「探索」を行い、人との深い結びつきを生み出して「人間関係」をはぐくむ絶好の機会が訪れているのだ。
「新しい長寿時代」の核を成すのは、マルチステージの人生と幅広い選択肢だ。本書では、2人の日本人のキャラクター、ヒロキとマドカを登場させ、このカップルがどのような道を選びうるかを描き出した。
しかし、アンドリューと私は、まったく幻想をいだいていない。多くの日本企業ではキャリアの道筋に柔軟性が乏しく、本書で描いたような人生の道筋を歩むことは難しい。マドカは、女性として、そして母親として、とりわけ大きな試練に直面すると予想できる。
それでも、新型コロナの影響で多くの人が在宅勤務に移行するのに伴い、生き方と働き方を大きく変えることは不可能でなく、実際に大きな変化が起きるだろうという見方が広がりはじめている。
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