「コロナ後の生き方」に鈍感すぎる日本人の大問題 「ライフシフト2」著者が続編で言いたかった事

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本書では、テクノロジーが急速に変化するなかで長い人生を生きる私たちにとって、健康、スキル、人生の目的、雇用、人間関係を維持することがいかに重要かを強調した。私たちがそのような生き方を実践するには、もっと柔軟な働き方とキャリアの道筋を選べる必要がある。

こうした側面で日本社会に大きな変革が求められていることは、以前から指摘されていたし、これまでに進歩もあった。それでも、長寿化の進展とテクノロジーの進歩がもたらす試練に対処するにはまだ十分とは言いがたい。

しかし、今回のパンデミックが変革を加速させる可能性があると、私は考えている。その理由は、以下の3つだ。

第1に、新型コロナが社会のあり方を激しく揺さぶったことで、現状維持の力が弱まった。そうなれば、おのずと変革を推進しやすくなる。

第2に、多くの人が指摘しているように、いま日本は経済成長を強く必要としている。これは、コロナ対策で政府の債務が膨張したこと、そして飲食や観光などの主要産業が大きな打撃を被ったことが理由だ。長寿化の進展とテクノロジーの進化を経済成長の原動力に転換しなくてはならないのだ。

第3に、パンデミックは、変革を加速させると同時に、個人、企業、国にとって、将来のリスクへの対応力を試すストレス・テストの機会になり、変化に適応するための学びの機会にもなった。

デジタル化が遅れる日本企業

では、日本社会のストレス・テストの結果はどうだったのか。

テクノロジーの面では、日本はすでに世界で最先端のロボット技術をもっており、とくに製造業では、それが年長の働き手の生産性と雇用を維持する切り札になってきた。

その一方で、感染拡大によりバーチャル化が加速するなかで露呈したのは、多くの日本企業が「デジタル化」で後れを取っているという現実だった。

たとえば、イギリスとアメリカではリモートワークが生産性に悪影響を及ぼした様子はないが、日本では生産性が低下したというデータがある。日本企業が柔軟な働き方の恩恵に浴したいと思うなら、すでに実現させた変化をさらに徹底し、働き方をもっと変えなくてはならない。

それに対し、健康と長寿の面での状況は、(少なくとも私がこの文章を書いている時点では)テクノロジーの面よりも良好だ。

人口比で見ると、新型コロナによる死者数は、アメリカとイギリスは日本の16倍、ドイツは9倍に達している。もっとも、日本が現時点で出生時平均寿命が最も高い国であることを考えれば、これは意外なことではないのかもしれない。

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