雨宮塔子が見た、フランスと日本の「仕事観の差」

「プライベート優先」の風潮が社会全体にある

フランス人の仕事に対する姿勢はどのようなものでしょうか。22年前にフランスへ移住した雨宮塔子氏の連載第1回です(写真:Andrei Vasilev/iStock)

22年前にフランス住まいを決意して来た頃、初めに覚えたフランス語のフレーズがあります。

"métro, boulot, dodo”(地下鉄、仕事、睡眠)。

メトロ、ビュロ、ドドと韻を踏んでいるのがいかにもフランスらしいこのフレーズは、フランス人はもとより、フランスに住んでいる人なら知らない人はいないほど。

込められた意味は、「朝、メトロに揺られて仕事して、家に帰って眠るだけの毎日」というもの。

都心部への通勤にかなりの時間を取られ、長時間労働に従事する日本の会社員の思いと共通するものにも捉えられますが、ここで嘆かれているのは“日々の単調さ”。仕事よりプライベートを優先するフランスの価値観、人生観がよく表れたものだと、フランス人の友人から教わったものです。

約束の時間に合わせて仕事を切り上げる

パリに暮らしていると、それを実感させられることがしばしばあります。例えば、18時まで開店しているブティックに17時45分に飛び込もうとしたところ、入店拒否に。

雨宮塔子氏による連載第1回です

シャッターを下ろすスイッチに手をかけながら彼女が言い放った言葉は、

「今日はこの後、夫と待ち合わせてデートなの」

まだ15分も早いのに……。デートの約束を仕事の終了時刻に合わせるのではなく、デートの約束時間に合わせて仕事を早く切り上げるなんて、日本で働く人にとっては想像もつかないかもしれません。

この女性店員さんが例外というわけではなく、堅いイメージの企業の会社員も、規定の就業時間よりも早く社を出ていく人は少なくないといいます。

フランスでは自分の仕事をこなしていれば、ほかの人に気兼ねすることなく早く社を出られるのは確かですが、フランス企業に勤める友人によると、自分の仕事が終わっていないのに退社してしまう人が相当数いるようです。

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