山崎まさよし「ウィキペディア」気にする意外な訳 デビュー25周年「自分への評価は過剰だと思う」

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山崎:ただ困ったのはタイトルでして(笑)。最初の『STEREO』も『アレルギーの特効薬』も『ド ミ ノ』も、収録していた曲を、そのままアルバムのタイトルにしています。

でも、今回のラインナップを見ると、どれもこれもタイトルっぽくなかった。今回、マネージャーの提案もあって『STEREO 3』と名付けましたが、事実上の『STEREO 3』は、やはり自分ですべてを手がけた『SHEEP』というアルバムだったりします。

──なるほど(笑)。いずれにしても、それだけ山崎まさよし濃度の高いアルバムというわけですね。

山崎:はい、申し訳ないくらいに(笑)。アマチュア時代から自分でデモテープを作っていたし、デビュー直後から「時間かかってもいいから、セルフプロデュースのアルバムを作ればいいやん」と、ディレクターに言ってもらっていたこともあって、僕はなかなかのひとり上手でして(笑)。おかげでいろいろなスキルが得られたし、そもそもひとりでやることが性に合っています。

同時に、他者とセッションというか、意見交換しながら作ることによる利点も確実にあって。今考えると、ひとり上手なところと、タイアップをはじめとする他者とのセッション──、その両方をやってきたことが、25年という活動の長さにつながっているのかもしれません。

今回、所属事務所(オフィスオーガスタ)の創始者である森川欣信さんには、相談役のようなかたちでスタジオに入ってもらいました。森川さんからは、雨の音を入れようとか、(忌野)清志郎さんの声を入れようとか、僕では思いつかないアイデアがどんどん出てきて、結果としてとても面白いものになったと思います。

──え、清志郎さんの声が入っているんですか!

山崎:「俺が許可を取ってやる」と、森川さんがご遺族のかたに連絡し、許可を取ってくれました。僕には、そこまでのアイデアは出てこないし、たとえ思いついても恐れ多くて言い出せません(笑)。

清志郎さんはどんなふうに天国から見ているのだろう

(写真:岸本咲子)

──楽しみです! では、あらためて今回のアルバムに込めた思いを聞かせてください。

山崎:うちの嫁が最近よく言うんですよ。コロナ禍の、この抜け出せない感は、なんとかならないのかって。アルバムには、そんな今の状況、そして、嫁だけでなく、多くの人が思っているであろう、この状況から抜け出したいという思いが入っています。

そして子どもの成長を願う気持ちも表現しました。さらに、アルバムには自分の情熱の置き場という面もあります。

──たしかに。今回のアルバムに収録される曲の歌詞を読ませてもらいましたが、いらだち、戸惑い、不安の先に、未来への希望も感じました。

山崎:「霧雨」という曲には、どしゃぶりでも雨はいつかはやむという思いを込めました。清志郎さんの声を使わせてもらっている「Hello ヘヴン」は、この未曾有の時代を清志郎さんはどんなふうに天国から見ているのだろうかと考えながら作りました。

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