"非鉄"も「いいね」とうなる、鉄道を撮る男の夢 鉄道カメラマン山崎友也と村上悠太の師弟対談
村上:撮影の仕方や1日の動き方もずいぶん教えてもらいました。天気に恵まれないと撮影のノルマが達成できないので、あっちが晴れているんじゃないかと、焦って周囲を動き回るんですが、その分経費もかかるわけで。僕は社員ですが山崎さんは経営者ですから。山崎さんに「動くな」と怒られたことがありましたね。確かに動き回っても成果が出ないなら動かないほうが正解です。山崎さんとは夜、車の中で鍋をつつきましたね。
山崎:よくやったね。悠太といちばんやったんじゃないかな。
村上:八戸で撮影の合間にアンコウを1匹買って、お店の人にさばいてもらって、夜に車の中でアンコウ鍋にしたこともありましたね。山崎さんのホームページには仕事の話以上に、車の中で鍋をするとか、温泉に入るとか、楽しい話がいっぱい出てくる。そういうところにも憧れていました。
シビアな「流し撮り」の要求
山崎:悠太とは、JR東日本の仕事でE5系とE6系の撮影をしに行ったことがあったな。
村上:あのときの山崎さんのオーダーがシビアで。E6系が登場したばかりで1編成しかなかったうえ、試運転で明け方か深夜しか撮影のチャンスがない。そのうえ、「トンネルとトンネルの間で流し撮りをしろ」という。トンネルからポンと出るとすぐ次のトンネルに入る。この間0.5秒くらいしかないところで流し撮りをしろというんですから。僕はそれで何回も失敗をしましたが、山崎さんは流し撮りが上手なんですよね。一発で決める。
山崎:世の中の人はそれを天才と呼ぶ(笑)。悠太はまだまだ粗いよ。いい写真もあるけど、これは……という写真もある。アベレージが低い。ただ、写真のテクニックを教える機会があまりなかった。悠太が入社した頃は事務所がフィルムからデジタルに切り替えていた時期で、デジタルだと教えにくい。フィルムの頃はみんなでビュアーを見て「ああでもない、こうでもない」と言い合っていたが、デジタルだとそういう場がない。そこはちゃんと教えておけばよかった。
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