"非鉄"も「いいね」とうなる、鉄道を撮る男の夢 鉄道カメラマン山崎友也と村上悠太の師弟対談
村上:山崎さんはこういう写真家だと知ったうえで、山崎さんにお願いして、山崎さんらしい写真が上がってきたのにそれが合わなかったというのは切ないですね。鉄道ジャーナルの表紙はどうですか。「これを使ってくれ」と1枚だけ渡すのですか。
山崎:月によって違う。1枚だけのときも何枚も渡すときもあるな。最初の頃はストックがなくて前年に撮ったものを出していたこともあった。
村上:今は表紙用に撮っている写真もあるんですか。
山崎:ある。縦で撮る。しかも文字が載ることも考えて撮る。
村上:最近の鉄道写真を取り巻く環境をどう思いますか。
山崎:もっとみんな個展を開いたほうがいい。一応、ワシと中井でファンを増やすことには少しは貢献できたかなとは思うが、後の人が続かないと意味がない。さらに言うと、鉄道が好きじゃない人が見ても「いいね」と思ってもらいたい。鉄道趣味の人だけを相手にしていても狭い範囲の中でやっているだけなので、もっと視野を広げて、いろんな切り口で写真を撮って、鉄道に関心がない人にも興味を持ってもらいたい。
鉄道写真を芸術に
村上:同感です。山崎さんの写真教室を受講しているのは、女性を中心に鉄道ファン以外の人たちが多いように感じます。カメラのワールドプレミアショー「CP+」でも、山﨑さんのステージはトップクラスの集客を誇るので、そこに集まっているすべての人が鉄道写真愛好家ではないはずです。これこそが山崎写真が鑑賞対象を限定しないことの証明かなと思います。
山崎:たとえば飛行機の写真を撮る人って、絶対飛行機にピントを合わせるじゃない? あれだと広がらないし伸びないので、とてももったいないことだと思う。趣味の世界で終わっちゃう。ワシは鉄道写真を芸術に近いところまで持って行きたい。だから鉄ちゃんは相手にしてない。むしろ普通の、写真が好きな人がたまたま見に来て、「鉄道写真って、電車しか写っていないと思ったけどこんな撮り方があるんだね」「自分も旅に出て、カメラで撮ってみようかな」と思っていただけたらうれしい。
村上:写真展はアーティストのライブと同じ。写真の配置やライティング。その空間すべてが山崎友也なので、そこをぜひ感じてほしいです。お越しいただければ山崎さんが本当はとても優しい人だということがわかります(笑)。
山崎:写真の最終形はプリント。さらに言うと写真集よりも写真展。展示会の現場で1枚のプリントの雰囲気や臨場感を味わってください。
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