"非鉄"も「いいね」とうなる、鉄道を撮る男の夢 鉄道カメラマン山崎友也と村上悠太の師弟対談

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村上:雪の踏切の写真はどうやって撮ったのですか。踏切の信号が両方とも点灯しているということはシャッター速度が遅くないといけないのに、雪を線ではなくつぶつぶで写すためにはシャッター速度を速くしないといけない。写真を知っている人にとっては不思議な写真です。

山崎氏が「多重露光」で撮影した雪の踏切(撮影:山崎友也)

山崎:あれは多重露光(複数の写真を1枚に重ねる手法)。雪を線でなくつぶつぶで表現するためには多重露光しかない。そして、信号が赤く光っているほうが見るほうの衝撃は強いよね。

村上:普段、絵画や映画などほかの芸術作品を見る機会はあるのですか。

ボケを生かした東京駅の写真(撮影:山崎友也)

山崎:今は時間がなく、見ることができていない。ただ、写真展には行くようにしている。鉄道ではなく、ほかの分野の写真展が多い。そこで受けた感覚を自分の鉄道写真に生かしている。たとえば、この東京駅のボケた写真、これは鉄道ジャーナル誌の表紙に使われた。どこかの写真展を見ていたら全部ボケていた写真があって、鉄道でも使えるかなと思った。

村上:年を重ねて実績を積んでくると、失敗が怖くなると思うんです。メーカーから新製品のカメラを借りて写真を撮るときは、失敗が許されないので僕の場合は自分がよく知っている撮影地で確実に写真を押さえられるルートを選びがちなんですが、山崎さんは“置きに行く”ことをしないですよね。いつも挑戦している。山崎さん自身がそう意識しているのですか。

小さなカットでも自分の作品を

山崎:うん。カメラ誌に載っている作例(このカメラでこんな写真が撮れるという例)を見ると、みんな手を抜きすぎると思う。「作例だから」と考えているのかもしれないが、ワシは嫌。どんなに小さいカットでも自分の作品だというカットを撮りたい。

村上:個性を出しすぎると、担当の編集者さんと合わないこともあるのでは?

山崎:あるよ。そういうときはそういうカットは選ばれない。もちろん押さえとして、撮っておくカットもあるけど、まずはこっちのイチ押しを提案するよね。

村上:意見が合う、合わないはどっちが多いですか。

山崎:合わないほうが多い。昔からだな。向こうが求める画じゃないのかもしれないけど、だったら「ワシに頼むな」みたいなのはあるじゃない。

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