第5波収束「コロナ季節性」を全く軽視できない訳 10月末以降の規制緩和は第6波と重なってしまう

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このことは、今年も昨年も学校の2学期が始まっても、感染者が増加していないこと、昨年は8月9日に感染者数がピークになった後は、お盆の人流増加にもかかわらず、感染者は減少し続けたこととも一致する。コロナ流行に対する人流の影響よりも、季節性変化のほうがはるかに大きいのかもしれない。

コロナの流行に季節性があるなら、必要な対応は現在とは全く違ってくる。昨年は8月9日に感染者数がピークアウトしたあと、9月初旬から10月下旬まで、感染は落ち着いていた。感染者が増加に転じたのは10月末だ。ピークの1月11日まで感染者は増え続けた。

2021年の春・夏の流行開始時期は、2020年とほぼ同じだった。2021年の冬の流行も、2020年と同じような経過を辿るとすれば、現在、ダラダラと規制を続けることは得策といえない。マンネリ化して、自粛疲れをもたらすからだ。

コロナ対策にはメリハリがいる。私は、今すぐに規制を緩和し、10月末以降に強化するのが良いと考えている。図2でご紹介した日韓の流行状態を比べれば、対策を強化することで感染の収束を早めることは難しいが、ピークの感染者数は下げられる可能性があることがわかる。

10月末以降に規制緩和すれば感染者増の時期と一致

逆に、現在、議論されているように、10月末以降になって規制緩和に着手すれば、季節要因による感染者増の時期と一致するため、規制緩和の弊害が過剰評価されることになりかねない。飲食店をめぐる規制など、場違いな議論が横行するだろう。

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悲しいかな、日本政府や専門家は、コロナ流行の季節性について沈黙を続けている。そして、飲食店やデパ地下を批判し、人流抑制を求め、「勝負の2週間」などの精神論を振りかざしている。G7で感染者数の最も少ない日本が、唯一、緊急事態宣言を続けている。

これでは、いつまで経っても、ウィズ・コロナなど実現しない。このような非科学的な対応は、国民に莫大な負担を課し、国家に甚大なダメージを与える。日本のコロナ対策は、科学的に合理的に見直さねばならない。

上 昌広 医療ガバナンス研究所理事長

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かみ まさひろ / Masahiro Kami

1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。

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