ファミマ「名店カップ麺」5メーカー同時参画の衝撃 ラーメン評論家のお墨付き、第1弾は利尻島の名店

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多くの有名店店主も「カップ麺」には意欲的だという。その理由は、実際に来店できない人にも、店の味を知ってもらえる宣伝効果があるから。「全国の人に向けて、自分の店を宣伝できて開発費用もいただける、二重のメリットも大きいでしょう」(同)。

夏に比べて「冬は130~140%」、味噌や濃厚さが人気

ところでカップ麺は、夏と冬では売れ行きがどれぐらい違うのか。

「商品によって異なりますが、全体的には夏が100とすると冬は130~140。3割から4割伸びる市場です。また寒くなると、味噌や濃厚な味が人気となります」(石田氏)

そうめんや冷やし中華に代表されるように、夏の麺類はさっぱり味が好まれるが、冬は消費者意識も変わっていく。

また、スーパーなどの大型小売店では、来店客に振り向いてもらうために、店頭ビデオを設置して購買意欲を促すことも行う。当初その気がなかった客にも「ついでに買っておくか」と誘引する効果もあると聞く。だが、コンビニのカップ麺は少し状況が違うようだ。

「カップ麺コーナーに来たお客さんは、カップ麺のどれかを食べようとする目的買いがほとんどです。まずはコア層である20代~50代男性に支持されたい。今回はツイッターなどSNSでも積極発信して、売り場に来てもらうように仕掛けたいですね」(足立氏)

名店カップ麺で「あなたと、コンビに、」が高まるか

最後に、この取り組みを通じて「会社として何を目指すのか」を聞いてみた。

「ファミリーマートは今年で40周年になります。そこで40周年に向けたチャレンジ『40のいいこと!?』の5つのキーワードを策定しました。(1)もっと美味しく、(2)たのしいおトク、(3)『あなた』のうれしい、(4)食の安全・安心、地球にもやさしい、(5)わくわく働けるお店――の5つです。今回の名店カップ麺は (1)と(3)、もっと美味しく、『あなた』のうれしい、になります」(同)

全社で掲げるミッションを、各部門がどう落とし込み事業活動につなげるか、だろう。

コラボカップ麺では、セブン-イレブンの「セブンプレミアムゴールド」の「らーめん山頭火」などが人気だが、ファミマにも「来来亭 背脂しょうゆ」「来来亭 背脂こってり」(税込みで各216円)などの人気商品がある。

今回の名店シリーズを通じて、「あなたと、コンビに、」(同社のキャッチフレーズ)がどこまで高まるか。商品の反響に注目したい。

高井 尚之 経済ジャーナリスト、経営コンサルタント

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たかい なおゆき / Naoyuki Takai

学生時代から在京スポーツ紙に連載を始める。卒業後、日本実業出版社の編集者、花王情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。「現象の裏にある本質を描く」をモットーに、「企業経営」「ビジネス現場とヒト」をテーマにした企画・執筆・講演多数。近著に『20年続く人気カフェづくりの本』(プレジデント社)がある。

 

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