デキる人が無意識でやる「思考の地図」の描き方 「問題がないこと」と「足取り」の2つが重要

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既存の客数の低下ということだと、考えた3つの仮説はどれも可能性があります。

出所:『入社1年目から差がつく問題解決練習帳』

一方で、新規と既存の単価には問題がないということがわかれば、サイトと食事は、可能性を下げて考えることができるということです。

出所:『入社1年目から差がつく問題解決練習帳』

得てして人は問題があったという情報をもとに考えてしまうものですが、実は問題がなかったという情報も考えていくうえでは重要な情報になります。せっかく調べてわかった情報はしっかりと次につなげていきましょう。

足取りを記録する

迷子にならないためには、問題がなかったという情報もきちんと使っていくということだけでは十分ではありません。人の思考の過程は、いくつかの可能性を広げ、選択するということを繰り返して進んでいくからです。

つまり、思考を進めていくと情報量がどんどんと増えていき、その結果、どういう過程を経て今に至っているかを理解することが難しくなるからです。また、繰り返し進んでいく過程を踏むと時間が進むこともあり、出発点に近いところの内容は記憶しておくことが難しく忘れ去られる傾向にあります。

その結果、覚えている範囲の情報から、なんとなく思考を進めるという状態に陥ってしまいます。何を調べて、何に問題があり、何に問題がなかったのかが、曖昧になってくると今考えている結論がなぜ出ているのかもわからなくなります。また、正しい内容なのかどうかも経緯が追えないため、判断がつかないということになってしまいます。

そこで、思考の地図を書きながら進むということを意識してみましょう。心がけてほしいことは、2点です。問題があったことだけでなく問題がなかったことにも価値があるため、きちんと漏らさないように記録をすること。そして、どういう流れで今、その結論をだしているのか、そのつながりがわかるように考えてきた経緯を足取りとして追えるように記録をしておきましょう。

できると言われている人は、このわかったことと何を調べてきたかの足どりをきちんと記憶し認識できる容量が実はあるのです。「できる人」と自分は違うからとあきらめてしまうのではなく、今回解説した2つのポイントを意識して訓練することで迷子になる確率はきっと下がってくるはずです。

岡 重文 グロービス経営大学院教授

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おか しげふみ / Shigefumi Oka

京都大学大学院工学研究科応用システム科学専攻修士課程修了。工学修士。大手情報システム会社、コンサルティング・ファームを経てグロービスに入社。企業研修担当、eラーニング事業の立ち上げに関与したのち、経営管理本部で、情報システム部門ならびに人事・総務を統括。現在はファカルティ本部で「クリティカル・シンキング」「ビジネス定量分析」「テクノベート・シンキング」等のコンテンツ開発や、講師の育成業務にかかわる。

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