「社長が無能でもなぜか成長する会社」3つの条件 「出社は週に1~2度」サボり癖を明かす社長も

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第2のポイントが、「事業の仕組み」です。安定的なビジネスモデルを築いていると有利です。

<ケース2:2代目は素人同然だったが…>
建築確認のB社は、殿村正幸社長の父が創業しました。B社は関西の複数の自治体で指定確認検査機関になっており、安定した事業基盤を持っています。それまで別の会社に勤めていた殿村社長は3年前、父親が引退したのに伴い、急きょ社長に就任しました。

殿村社長は元々ミュージシャン志望。会社を継ぐつもりはなく、今でも右も左もわからない状態です。しかし、自治体と強固な関係があることから事業は順調で、殿村社長が就任してからも最高益を更新しています。

第3のポイントは、社長に代わって舵取りをする「番頭さん」です。

<ケース3:後継者がなかなか決まらなかったが……>
小売業C社では、2年前に創業者が急逝したのに伴い、遺産を巡る同族の内紛が起こり、訴訟に発展しました。訴訟が終わり、後継者が正式に決まるまで、創業者と親交のあった会社経営者・中西勘太氏に社長を兼任してもらうことにしました。

中西社長は自分の会社の経営で忙しく、C社には月1度の役員会に顔を出す程度で、経営にほとんどノータッチ。しかし、現場を任せられた正木智則専務がリーダーシップを発揮し、社員も正木専務を中心に一丸となって頑張っており、業績は順調です。

企業は、誰かが舵取りをしなければなりません。経営者が舵取り役を放棄したら、普通その直下にいる「番頭さん」が代わりをします。かつて「お神輿経営」と言われたとおり、優秀な番頭さんを中心に従業員が一致団結するなら、かえってトップは無能なほうが良かったりします。

「完全にサボってます」飯島社長の証言

ところで、無能な経営者は企業の成功にまったく無関係でしょうか。今回、機械メーカーD社の飯島勝男社長にインタビューしました。飯島社長は、6年前に創業者の父から経営を譲り受けました。

――業績は好調のようですね。

飯島:はい、お陰様で。私が後を継いでから6年になりますが、概ね順調です。去年はコロナショックで少し肝を冷やしました。でも中国・東南アジアなどの外需がすぐに回復し、問題ありませんでした。

――社長はあまり経営に関与していないようですが?

飯島:ええ、完全にサボってます。会社に顔を出すのは週1~2度です。元々怠け者ですし、文系人間の自分には事業・製品のことが難しすぎて、ついていけません。まあ、私が顔を出さなくても会社はちゃんと回っていますし。

――会社に行かない時は、何をしているんですか?

飯島:趣味に没頭しています。特殊な趣味なので、詳しくは勘弁してください。あと、出張と称して月1くらい東京に行って、銀座・赤坂で飲んでます。地元では飲みません。妻以外の女性はいません。会社の金を使うのは、出張旅費と飲み代くらいです。

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