【産業天気図・造船・重機】回復基調も利益水準はまだ低い、造船の中韓価格攻勢もきつく「曇り」止まりか

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10年4月~9月 10年10月~11年3月

造船・重機械業界の景況感は、2010年4月から1年通じて「曇り」の鈍い回復にとどまりそうだ。09年10月~10年3月の「雨」からはやや好転するが、中韓造船メーカーの価格攻勢が激烈などで、かつての利益水準にはまだ至らない。

造船業界は08年秋以降、商談が止まった状態だったが、足元でようやく新規受注が入り始めている。リーマンショック以前の空前の活況により、現状では各社ともなお2~3年分の受注残高を抱えているが、受注が回復しないままだと数年後には枯渇する懸念があった。受注回復の兆しは朗報だ。

ただ、中国・韓国勢との熾烈な価格競争が予想され、先行きは厳しい。中韓勢の生産能力増強の結果、現在の世界供給能力は中期的な造船需要予測に対し、3倍もあるからだ。日本勢が活路を見いだすとすれば、省エネ・環境対応面で徹底した差別化を図るしかない。

重機械分野でも、回復の兆しが出ている。特に、見込み生産で景気動向に左右されやすい量産品部門の回復が顕著。三菱重工業<7011>では、7月に分社化する印刷機械の赤字縮小、自動車向け過給器(ターボチャージャー)や小型エンジンの採算改善などが寄与して利益が回復する。

川崎重工業<7012>では、大型二輪の北米需要回復やリストラ効果が貢献して営業黒字化する見通しだ。住友重機械工業<6302>は、主力の変減速機や射出成形機の回復スピードが速く、前期後半から需要が好転している。各社とも量産品の動向次第では、今期後半には回復基調が鮮明になり、曙光が差すかもしれない。

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