東武東上線「ときわ台から下赤塚」には何があるか

池袋―成増間「地下鉄と直通しない区間」の底力

「下赤塚駅までは各駅停車しか停まりませんが、成増駅は快速や急行が停まります。池袋駅からだとたったの10分。さらに各駅停車では成増始発の列車もありますから、お客さまにとっては便利な駅ですね」(鑓水副管区長)

鑓水副管区長がこう話す成増駅は、地下鉄からの直通電車がやってこない区間では最後の駅だ。これまで続いた小さな駅とはうってかわって、駅舎内には立派な商業施設が標高の低い北側には小さいけれど存在感のあるペデストリアンデッキ。南側は大きな駅前広場がある。人通りやにぎやかさはこれまでの駅とは変わらないが、規模としては圧倒的に大きい。ちなみに、モスバーガーの1号店は成増駅のすぐ近くだ。ここから東上線は高架に駆け上がり、和光市駅で地下鉄直通電車と合流する。

地域と鉄道が濃密なエリア

瓜生欣幸東武池袋駅管区長は言う。

「成増駅までは最近はマンションも増えたりはしていますが、全体的には昔ながらの面影をとどめている街が続いています。ほんとうに住みやすい地域だと思いますよ。スカイツリーラインでも浅草―北千住間が東上線の池袋―和光市間と似たような感じですが、こちらのほうが多くのお客さまがいらっしゃいますね」

北池袋―下赤塚・成増間の何よりの特徴は、池袋というマンモスターミナルとごく近いにもかかわらず“地下鉄直通電車が来ない”ことによってちょっとだけ時代に取り残された空気が残っていることだ。それは悪いことではなくて、静かで庶民的で商店街がいくつもあって、とにかく住み心地のよさそうな空気が流れているのだ。

朝の通勤では、池袋駅で乗り換えるのが面倒ならば和光市駅まで一旦逆方向に向かい、そこから直通の地下鉄に乗るという手もある(和光市駅で乗り換えるのは面倒じゃないのかと言われるとアレですが)。

成増駅前の商店街。モスバーガー1号店もこの先に(撮影:鼠入昌史)

「和光市以西からご利用のお客さまは、朝は地下鉄直通で夜は池袋駅から座って帰るというご利用をされる方も多いですね。そういう利用が可能な定期券も販売しています。また、2008年から着席サービスのTJライナーも運行しており、それも池袋駅が始発なので北池袋―下赤塚・成増間を通っていますね」(瓜生管区長)

相互直通運転はすこぶる便利なしくみである。だが、そこから漏れたとてそれだけをもって地味と言ったのは間違いであった。板橋区南部を中心とした東上線各駅停車8駅の旅。そこには、地域と駅、鉄道の濃密な関係が垣間見える温かい街が続いていた。そして成増駅から和光市駅にかけて東京都を出て、いよいよ埼玉県だ。ここからは、また変わった“らしさ”を見せてくれる東上線埼玉ワールドに入るのである。

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